過去を勝手に掘り起こして怒っているだけ
相談文からは、あなたが彼の前の奥さんのことをすごーく嫌いで、すごーく下に見ている様子が伝わってきました。まあ、配偶者の前の奥さんのことを大好きな人なんて、なかなかいないとは思いますが……。
わたしがあなたに抱いた印象としては、ずいぶん自分に自信がない人だなぁ、それでいて(だからこそ?)自分が一番でなければ我慢ならないんだな、と。
あなたは、彼の前の奥さんの態度に対してイライラが募っているようですが、「当時の」と書いてあることから、現在進行形ではなく彼が奥さんと夫婦だった過去のことですよね。
もし彼が現在進行形で、あなたと結婚したにもかかわらず前の奥さんと大した用事もなく連絡を取り合い、機嫌を損ねないように頼まれ事を引き受けたり愛の言葉を伝えているのでしたら、あなたの気持ちもわかります。
「いつまで前の結婚生活に固執しとんのじゃワレ! 大事にすべき対象を見誤るなよアホンダラ!」とわたしだったらブチ切れていたことでしょう。
でも、彼はとっくに離婚していて、すでに終わったことのはず。
今さら変えようのない過去の事実を責めるのは、ルール違反ではないでしょうか。
同じ過去のことでも、倫理的・人道的に反する行いをどうしても受け入れられないとか、浮気されて許しはしたものの未だにフラッシュバックに苦しめられているとかならまた回答は変わってくるのですが、あなたの悩みはそうではない。
あなたが彼の過去を勝手に掘り起こして、勝手に怒っているだけです。
かつて彼が奥さんを愛していたときは、彼の世界にはあなたは存在していなかったわけですから、ずっと昔のことを今さら責め立てられても堪ったもんじゃありません。
わたしが彼だったらあなたに聞きたいです、じゃあどうすれば気が済むの? と。
相談文に書かかれているように、あなたもバツイチということは過去にお付き合いした男性がいますよね。
おそらく、お付き合いしている男性には当時いろいろしてあげたり愛の言葉を伝えたりしたはずです。
たとえば、あなたが昔お付き合いした男性の誕生日にマフラーをプレゼントしたことがあって、同じように今の旦那さんにもマフラーをプレゼントしたとしましょう。
価格帯やブランドは違うものの、マフラーを贈ったという同じ行為に対して「昔の男と同じプレゼントかよ」と責められたら、どう思いますか?
きっと嫌な気持ちになりますよね。
その感情の理由は、「値段もブランドも違うのに!」という表面的なものではなくて、「こっちのほうが似合うかな?」「喜んでくれるといいな」など、誰のためにどういう想いで一生懸命選んだか、という部分を蔑ろにされているから。
あなたが彼にしていることは、それと一緒なんです。
パートナーのためにできる行動や伝えられる愛の言葉の種類は限られているため、手を変え品を変え、バリエーション豊かに毎回新作を発表するなんて無理なわけです。
大事なのは誰を対象とするか、そしてその瞬間に込めた最大級の想いです。
たしかに彼は前の奥さんにも、あなたにも「好きだよ」と同じ言葉を伝えたかもしれません。
でも、決して同じものではないのです。
あなたは目に見える行動や耳に入ってくる言葉から、その原動力となる気持ちまで同じものだと決めつけているように感じました。
行動や言葉が同じでも、対象や時間軸、そのとき込めた気持ち、そしてその気持ちができあがるまでの過程は全て違うことを知っておく必要があるのではないでしょうか。