世話焼きしたいのは“自分の成功体験を確認するため”

ここまで書いてきて何が言いたいかというと、親族が言っていることに(結果的に)応えるように結婚したり、子どもを持ったりしても、なんやかんやで茶々は入り続けることがあるということです。

どうしてこんな余計なお世話をしてくるかといえば、結婚生活もそうだけど、子育てというのは、多くの人にとって、その人が人生で唯一成し遂げた成功体験なんですよね。

どんなに結婚や子育てで苦労しても、苦労した分だけ報われないといけないと思って、自分の中で正当化していくんですよ。考え方としては、DV被害者が長くDVを受けていると、DVに慣れ親しんでしまうのと近いところがある。

だから、「結婚はいいぞ!」「子どもはいいぞ!」という世話焼きや余計な一言というのは、本人が「俺の結婚は良かった!」「私の子育ては良かった」と肯定するために言っている面があるのです。

「子どもがいて良かったですか?」と逆質問しよう!

ということで、親族による「結婚しないの?」とか「子どもは作らないの?」「二人目はどうするの?」といった口撃への対処法として、こちらから「私も考えているんですけどねー。ちなみに、おばさん/おじさんは結婚しててどんなところが良かったですか?」「子育ての極意を教えてください!」と逆質問するというのも有効ということになります。

人には結婚や子どもを推奨しておいて、実際には結婚生活や育児が上手くいっていない人は、「私のことは置いておいて……」とテンションが下がります。これであなたへのいらぬ詮索をする意欲を失わせることができます。

一方で、実際に結婚生活や育児が上手く行っている人は、質問をされると喜び勇んで自分語をし始めます。そうなったら、しめたもので「へー、凄いですね!」とこちらが褒め続けましょう。本人としては自分の結婚・子育てが成功したことを承認してもらえる絶好のチャンスなので、あなたに口撃することを忘れてくれます。

こちらが結婚をしない理由や子どもを作らない理由をどう説明したところで、親族は引き下がることはありません。腹を立てても疲れますから無難にスルーする人が多いと思いますが、今年は試しに逆質問して、相手に根掘り葉掘り聞いてみてはいかがでしょうか。

Text/斗比主閲子
※2016年12月21日に「TOFUFU」で掲載しました。