2段構えの驚愕の真実

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漫画を誰かが描き直してくれていたわけでない。だとしたら吉報だ。誰が描いても私よりは上手い。

問題は欄外だ。

「○万使った」というコマの欄外に「17万で出たそうです。良かったですね!」と書かれていたのだ。

諸君は欄外の文言は誰が書いているか知っているか?担当である。

私が「私の担当は全員サイコ田パス太郎である」と言っているのが誇張ではないとわかっていただけただろうか。本人でさえ、リアル数字はヤバイと思ったものを担当がバラす。

「いともたやすく行われるえげつない行為」この担当は、サイコ太郎の上にスタンド次郎だ。早く暴力でなんとかしなければいけない。

だが、その前に、私が「だめだこいつ、早く何とかしないと」と夜神月の顔で夫に思われている可能性が高い。

しかし暗澹たる気持ちで帰宅すると奇跡が起きていた。

ポストにそのスピリッシが入っていたのである。どうやらまだうちには届いていなかったようだ。当然、夫の目には触れていない。早速私は未開封のままそのスピリッシを自室に厳重保管した。

そして、一息ついたところで、また驚愕の事実が発覚した。

ダイニングに、その課金額をバラされた「刷り出し」が置かれていたのである。

「刷りだし」とはつまり、雑誌とは別に、自分のページだけ送られくる、と思ってくれたらよい。

その刷りだしを、封筒から出し、ここに置いたのは誰か、夫である。

おそらく見られている。

ただ、夫からは何も言ってこないので、確かめる術がないし、自分から切り出すという自爆行為はさすがにできない。

しかし、課金額に関しては、夫が目にする雑誌媒体では伏せていたが、こういうネットではいたるところで書いているので、その気になればいくらでも見られるのである。

課金の件だけではなく、私は夫に対し全てにおいて「自分からは言わないが隠すこともしない、または隠してるつもりでも全く隠していない」なので、夫は私に関することは大体把握しているような気がする。

秘密が多いのは良いことではないが、大きな問題ではなく、パートナーがブルーになるだけの事実なら隠しておくのも、相手に対する気遣いなのかもしれない。

Text/カレー沢薫