配偶者のDV・借金・浮気が常態化していたら?

もちろん、話し合いで解決する限界を大きく超えるような、配偶者からのDVがあったり、借金や浮気が続いているということであれば、離婚のカードを切ることは自然なことだと思います。

離婚の決断自体はストレスフルなものですし、一度自分で良いと思った関係をご破産にするわけですから一大決心です。

自分が不快な目に遭っていても離婚を決断できないことは多々ありますから、離婚のハードルが下がることが一概に悪いことかといえば、必ずしもそうではないでしょう。

気軽に離婚のカードを切られたら?

もし配偶者から気軽に離婚のカードを切られたらどう対処するといいでしょうか。ここで気軽にというのは、不満を抱いた出来事が重大事件ではなく、一週間に一度ぐらいの頻度ぐらいとします。

「何かあるとすぐに離婚を言い出すヤツなんてこっちから願い下げだ!」と考えて、売り言葉に買い言葉で、「どうぞ、離婚しましょう!」と返す人もいるでしょう。

私は、「離婚だ!」「はい、離婚しましょう!」と離婚の応酬をするのは好ましいとは思っていません。自分だけが被害者にならないように言葉の暴力に言葉で返すというのがダメだとは思いませんが、せっかくお互い良いと思って結婚したのに、ちょっと勿体無いなと考えていまして。

気軽に離婚のカードを切る人は、私の考えでは、他人との交渉方法を知らないんですよね。相手をギッタンギッタンに傷つけたいという目的もあるかもですが、それよりも、他にどう対応したらいいか分からないから、すぐに「離婚する!」と言ってしまう。

もし私が離婚のカードを気軽に切られたら、すごく悲しい気持ちになっていることを伝えます。離婚のカードがいかに暴力的かをまずは知ってもらうわけですね。

その上で、「何が不満なのか教えて?」と質問し、不満の原因をホワイトボードや紙に書き出します。そして、「私はあなたとこれからも一緒に暮らしていきたいから、この不満をどうやって解消するか一緒に考えない?」と提案します。問題を言語化し夫婦から切り出すわけです。

相手が離婚のカードを気軽に切ってくれば、その度にこのプロセスを踏みます。離婚のカード以外に、問題を解決する方法を一緒に練習してみるわけです。

ある意味、離婚のカードを気軽に切り出すこと自体を、配偶者個人の問題ではなく、夫婦の共通の問題と捉えて、対処をしようとしていると言ってもいいかもしれません。色々な理由で、試し行動的に離婚を切り出す人はいますし、離婚のストレスは結構ありますし、誰とでもそれなりに揉め事は起きるものです。

ピンチはチャンスとばかりに、離婚のカードに対処をしてみるのも、意味があると私は考えています。

Text by斗比主閲子

初出:2018.03.14