奥ゆかしい夫婦生活はしんどい

ふとしたきっかけで、恋愛や恋愛物に関するスタンスがパートナーと違うことを改めて認識したわけですが、では、この違いによってこれまでの結婚生活に何か支障があったかといえば、私が思いつく限りでは特に何もありません。

当たり前っちゃ当たり前で、恋愛のプロセスはお互いが好きになり付き合うまでの短期間のことですからね。もちろん、それ自体は楽しいし貴重なもので、恋愛だけの時間も数年はありますけれど、結婚生活と比べれば圧倒的に短い。
結婚前に恋愛をしていたとき、その恋愛はその後に続く結婚生活の前哨戦です。その上、結婚は介護や相続など揉めるイベントが多数発生する。

私もパートナーも、誤解を与えないよう、自分が考えていることを相手に伝えたほうがいいというポリシーをお互いに持っています。
私自身は恋愛期間ぐらいは多少奥ゆかしくてもそれはそれでありと思ってますが(中学生なら当たり前とも考えている)、奥ゆかしい結婚生活は、かなりシンドいと考えています。長く続く結婚生活においては愛情というのはすり減りがちで、愛情表現を適切に伝え合っていないと愛情を維持するのは簡単じゃないですから。

……などということを、一つの恋愛作品を介して考えてみました。「何だよ、結局ノロケかよ!」と思われたとしたらすいません。

お互い考えていることを伝え合って、擦り合わせる習慣があれば、多少の物の見方に違いはあっても、仲良くやっていけるという、一つの事例としてお読み頂けると幸いです。

Text by斗比主閲子

初出:2018.03.30