30歳、バツイチ。結婚する気のない男を本気で愛してしまったら?/つかふる姐さん

結婚願望のない彼に本気で惚れる

AM読者の皆さま、こんばんは。夜職歴10年以上の暗黒心理学者、つかふる姐さんです。

今回の連載では、私が実際に体験した結婚、離婚、そして再婚について振り返りながら、「30代女性の幸せな結婚とは何か?」をテーマにお話しています。

30歳目前で一度目の離婚を経験した私は、もう一度1人で生きていけるようになろうと、とにかく必死でキャリアを立て直しました。貧しいながらも社会人としての自分の居場所を築き、精神的な自由と自立を取り戻した私は、「もう一度思い切り恋してみよう、そしてもし叶うなら、今度は大好きな人と結婚しよう」と、マッチングアプリを始めました。でも、そこはバツイチ30歳女性にとって、魑魅魍魎の蠢く危険な世界…それはそれは酷い目にあいました。

マトモな出会いを諦めかけていた頃、雷に打たれるように惚れてしまったのが、彼でした。

それはとーってもカジュアルなマッチングアプリで、彼は真剣なお付き合いなど求めていませんでした。私の方から何とか漕ぎ着けた一度目のデートで、彼は「結婚とか全くわからない、少なくとも今は考えてない」と断言しました。

かたや私は、自分でもわけがわからないほど、全身全霊で彼に惹かれてしまっていました。頭では「この人は恋愛対象にしないほうがいい。だって明らかに先がないもの」と理解しているのに、心は全力で彼を求めていたのです。そんな馬鹿みたいに人を好きになるなんて、自分で自分が信じられなかったくらいです。夜職の長かった私は、そもそも異性を本気で好きになることを諦めていたのだと思います。

頭は「STOP」心は「RUN」と正反対のサインを出す中、私は柄にもなく心の声に従うことに決めました。だってもう1人でも生きていけるとわかったから。この恋がダメになっても、それで人生が終わるわけじゃない、と。

将来のことを一切約束しない彼と、彼が好きでたまらなくて頭がおかしくなりそうな私。同意の上で今を一緒に楽しむ関係、つまり、ありふれたセフレ沼の誕生でした。

ドス黒い不安の先に

彼と会える週末を指折り数える毎日でした。自分はこんな風に恋をすることができる女だったんだと、驚きと幸せを噛み締めていました。でもそれと同時に、ドス黒い不安はどんどん増殖していきました。結婚・出産への焦り、将来訪れるであろう孤独への不安。そして何より、彼が実際のところ自分をどう思っているのかという疑心暗鬼、本当は愛なんか一欠片もないんじゃないかという恐怖…。

いずれにせよ先は無いと断言されているのだから、もう今日で終わりにしよう、これで最後にしよう、そう思っても、結局彼のことが大好きで、他のどこにも行くことができませんでした。

そのうち、夜中に彼の隣で寝ていると勝手に涙が流れ出て止まらなくなるようになりました。
自分の人生を完全に見失った時期でした。この恋がダメならもう死のうなどと考えたりして。

そんな自分に嫌気がさした私は、絶望感と閉塞感のモヤモヤを自ら切り裂くようにして、銀座のホステスに復帰しました。「将来が不安なら金でも稼ぐか!」と開き直ったのです。我ながら笑ってしまいます。久しぶりに連絡を取った社長は「おうつかふる。別に今日からでもいいぞ」と歓迎してくれました。もちろん彼には一切内緒で。