夜の彼女たち、私の本当の気持ち

久しぶりの夜職は、やっぱり厳しくて、それでも楽しくて。私は昔よりタフになった自分のメンタルを頼もしく思いながら、昔からのお客様たちに支えられて働くことができました。

今回籍を置いたのは、30代の女性も多い落ち着いたお店でした。シングルマザーや闘病中の方、休職中、起業準備中の方など、様々な事情を抱えながら逞しく生きている女性たちと出会い、とても勇気をもらいました。彼女たちと話していると、自分の抱えている悩み(好きな男が結婚してくれそうにない)なんて、本当に瑣末なことのように思えました。

みんな自分の凸凹した人生をちゃんと受け入れて、まっすぐ前を向いている人たちでした。彼女たちはそれぞれに魅力があり、それぞれのお客様に愛されていました。それは単に容姿が優れているとか面白いとか、表面的なことだけではなく。彼女たちが生きている唯一無二の人生が、彼女たちを輝かせているんだとわかりました。そしてお客様も、お店さえも、女の子を商品として扱うというよりは、人として尊重してくれているようでした。

20代の時には暗く淀んで見えた夜職の景色が、30代の私の目にはもう少し明るいものに映ったのです。

昔のお客様には「ま~た戻ってきちゃったの!」「せっかくいい男捕まえたのに!バッカだね~」とからかわれつつ。それでも、「君がどう変わろうと、結婚しようと子どもを産もうと、ずっと君のファンでいるよ」と言ってくれた方もいて、救われた思いでした。

お店での仕事を通して、「私は私らしく生きていけばいいんだ」と改めて思えました。そもそも、“結婚・出産が約束されていた安定した将来”を自ら捨て去ったのは他でもない私です。社会の「普通」からはみ出して生きてきたのが私です。

1人で生きていく自信がなくて、自分で切り開く将来を信じられなくて、夫が差し出した“いい暮らし”と引き換えに身売りのような結婚を選んだ自分。愛や恋心よりも、世間の価値観や見栄や条件を優先した自分。そして、今後の生活の保障と引き換えに出産を要請された自分。

そんな自分はもう終わりでいい。今度こそ自分の本当の気持ちを、「彼を好き」という自分のこの気持ちを優先してあげようと決めました。それがいかに不安定で、危険な橋であっても。もう自分の選択に自分で責任を取ることができるとわかったから。だから、文字通り人生を賭けて、彼を愛そうと思ったのです。

夜職に戻ることで自分を取り戻すなんて自分でも可笑しいですが、忘れていた自分の逞しさを思い出し、いろんな人たちに勇気をもらって、「大丈夫、私ならきっとどうにでも生きていける」と、改めて思えたのだと思います。

Text/つかふる姐さん