これが大人ということか!

そんな彼に対して「これが大人ということか!」と驚いたのは、ある深夜、お腹が空いたとごねていたわたしを「このあたりの店は終わるのが早くてファミレスくらいしかやってないけど、ちょっとくらいはマシなメシが食えるところがいいよな」と、連れていってくれたのが、ロイヤルホストだったことです。歩いて行ける最寄りのファミレスではなくロイホまでわざわざ車で行くこと、そしてメニューだってそこそこなお値段がするというのに、それを“マシなメシ”と称することに、なんだか大人っぽいと衝撃を受けたのですが、44歳になったいまとなれば、深夜、二回り近くも年下の恋人がお腹を空かせたと言ったら、わたしだってロイホくらいには連れていってあげるであろう。

旅行は相変わらずLCCであるし、普段着はTシャツにデニムだし、ドイツ車ではなくママチャリで駆け回っているけれど、しかし、あのとき、彼が「めちゃくちゃオジサン」に見えたのと同じように、24歳の男性からすると今のわたしは「めちゃくちゃオバサン」に見えているに違いない。そこに辿りついたことが、なんとなく不思議な気持ちもありながら、もうひとつ思うのは、44歳の彼は、よくぞ24歳なんかのわたしと付き合っていたなっていうことです。まぁ、趣味も性的嗜好も人それぞれですが、正直なところ、わたしには24歳の男性は、子どもにしか見えない。

Text/大泉りか