カッコいいのに面白いアイドル

しかし中には、アイドルとしてカッコいいだけでなく、冠番組でコントをやるなど、面白い一面を見せるアイドルも存在します。ミカコちゃんの世代で言えば『SMAP×SMAP』でキムタクがやっていた「ペットのPちゃん」とか。キムタクが、プードルの着ぐるみというギャップに、視聴者は萌えるわけです。「カッコいいだけでなく、面白いこともやるとは……!」と。

お笑い界でも、面白いだけでなく、イケメンキャラがセールスポイントになっている芸人さんも存在します。「よしもと男前ランキング」で殿堂入りを果たしているピース綾部とか。お笑い芸人であるピース綾部の顔立ちが端正であることに、お笑いファンは萌えるわけです。「面白いだけでなく、顔もイケメンとは……!」と。

カッコ良いだけでなく面白いとか、面白いだけでなくカッコいいって、要するに「食いっぷちが本業以外にもある」ってことだと思うのです。アイドルとして歌ったり踊ったりするだけでなく、面白ければトーク番組でも重宝されます。お笑い芸人として漫才をするだけでなく、カッコ良ければ連ドラマに起用されることだってあるでしょう。要するに生命として生き残る能力が高いのです。

恋愛でも生存能力の高さは大事

恋愛にも同じことが言えるのでしょう。冒頭の例で言うならば、校内イチの不良って下手すれば警察のご厄介にもなりかねない人物です。と思いきや、捨て猫を拾う優しさがあるってことは意外と、警察のご厄介になるような事件を起こすことなく、平和に生きてゆくのではないかと、生存能力の高さを垣間見ることができます。

不良男子の対極に存在する、堅物男子や清楚女子も同様です。七三分けに黒縁眼鏡の堅物男子が、休日はハーレーダビッドソン乗り回しているって知ったら……。仮に会社が倒産しても、たくましく生きてゆけそうな生存能力の高さを感じますよね。黒髪の薄化粧でノーブランドな清楚女子とベッドインしたところ、真っ赤なペディキュアが施されていたら……。メスとしてオスを捕獲する生存能力の高さを感じますよね。

人間がギャップに萌えるのは、どのようなギャップであれ、そこに生存能力の高さが感じられるからなのでしょう。ただし、土曜の朝の顔がトイレ不倫する系のギャップは除外です。

Text/菊池美佳子