恋で幸せになるだけが人生じゃない

本当にちょっとしたことで私が彼のことを急に大嫌いになってしまって、長かった恋愛はあっけなく終わった。コントロールがきかなくて、体をぶつけあって、傷つきあって、砕けあって。恋愛は事故なのだと私が思うようになったのは、この体験に由来している。でも、じゃあもう恋愛なんかしなくていいかって言われたら、そうは思えない。また事故を起こしたい、と無謀にも思ってしまう。そうやって、恋愛スピード狂人生を突っ走ってきてしまった。だってそのほうが、人生おもしろいだろ、なんて。

「幸せになりたい」と叫んで恋愛に突き進み、悩み苦しむ友人を何人も見てきた。やっぱり恋をすることで幸せになるというのは無理があるのではないかと思う。私はもう「どしどし事故っていこう!」くらいに考えているが、「幸せになる」という無理な目標がないぶん、それを達成できずに悩むこともなくて、ずいぶん楽である。恋愛で幸せになろうとしないことが、恋愛で不幸せにならないコツなのではないか。

アラサーになってからというもの結婚式に呼ばれることが増え、たまに披露宴やパーティーで挨拶の依頼を受けることがある。何て言おうかといつも迷うのだが、最近はむやみに「お幸せに」とは言わないことにしている。結婚で無理に幸せにならなくたっていいし、うまくいかなければ離婚したっていいだろう。縁起が悪いと言われるかもしれないが、内心そう思っている。そのかわりに「あなたなら大丈夫」と言うことが多い。無理に幸せになろうとしなくても大丈夫。雰囲気に身を任せていいんじゃない。イージーにいこうよ。そんな思いをこめての、「大丈夫」。

恋愛に打ち込んできた分、恋愛以外で幸せを得るのがうまくなったような気がする。これからどんなに事故っても大丈夫。人を好きになるのは大概辛いけど大丈夫。恋で幸せになるだけが人生じゃない。幸せじゃないにせよ、大好きな人を大好きでいることはやっぱり、おもしろいことだから。

さて、急に寒くなってきたので今夜は豆乳鍋にしよう。

Text/雨あがりの少女