プレイボーイVS堅物ヒロイン
韓国では昔から、「たとえ相手が好みの男性でも一度はお誘いを断るのが女の礼儀」という考え方があって、逆に男性からしたら一回断られたのが本気の拒絶かはわからないのでめげずにガンガンいく人が多い。という話を韓国の女の子から聞いたことがあります。
その話は実際どうなのかよくわかりませんが、韓国にはカラっとした明るい大人のロマンティック・コメディがたくさんあります。
『その日の雰囲気』はどんな女も落とすプレイボーイと身持ちの堅い生真面目女子の恋の駆け引きを描いた作品。ロードムービーの趣もあり楽しい映画です。
釜山行きの列車で隣に座った男からいきなりナンパされたスジョン。断っても断ってもぐいぐいくるこの男・ジェヒョンは百戦錬磨の色男なだけでなく、スジョンがどうしても専属モデル契約を取らねばならないバスケ選手のエージェントだということがわかります。
不本意にも道行きを同じくするうちにお互い感情が募ってくる、正反対な二人のロマンスが王道ですね。
キザかつ強引なジェヒョンのナンパ戦法はすぐに「ただしイケメンに限るやつだろ!」と言われてしまいそうですが、細やかに相手を観察して予期せぬ方向から相手を揺さぶる手練れ感にはけっこう感心してしまいました。
また、ずっとぷんすかしている堅物ヒロインのスジョンがとっても可愛らしいです。
仕事はバリバリやっていてチーム長という立ち位置だけど、10年続いた彼氏とは最近しっくりきていない。壊れてしまったパソコンも、せっかくずっと一緒にいたのに……と手放せない。友達の結婚報告におめでとうとニコニコしていたらなんと相手は自分の初恋の人!
不器用で臆病な彼女には共感してしまう人も多いのでは。
更に彼女がプレイボーイのジェヒョンにカウンター説教をぶちかますシーンは大いに感動してしまいました。
「自慰じゃ済まない理由は?!
相手がいた方がいいなら感情が大事ってことです!!
だから誰とでもじゃなく、愛する人としなきゃ感情もわかない!!!」
これってめちゃくちゃ真理をついてるんじゃないでしょうか。
愛しているかどうかはさておき、インスタントに済ませられないのは心にも満たしたい何かがあるから。
軽薄なようでいてしっかり芯のあるストーリーを観て、ふと自分の望みにも思いを馳せてしまうのでした。
あっという間に連載も10回目を迎えました。
いつもただただ好きな映画についてのおしゃべりにお付き合いいただきありがとうございます。
今夜もAM3:00を迎えましたが、どうぞまたお付き合いください。
TEXT/気絶ちゃん
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