なので一点の曇りもない目で「女性差別反対!! 男女平等!!」と熱心にフェミニズム活動をする男を見かけるとつい胡散臭さを感じてしまう。別にその活動を止めようとは思わないし、「ま〜んw」とかっつって喜んでるヤツと比べればものすごく立派な人間だと思うけど、でもなんか熱心にイルカの保護とかもしてそうだし、ケールのスムージーとか飲んでそうだし、個人的にはあんま友達になりたくないタイプだなと思う。 だってそういう男でも「では今現在女性正社員の平均給与は男性正社員の75%なので、来月から全男性の給料を12.5%減らして平等にしましょう!」と言われたらアワワという顔で「いやそれは現実的に難しいから……」とか言い出す姿をどうしたって想像してしまう。今から70年ちょっと前に「女性にも選挙権をよこせ!」と言われた男もアワワという顔で「いやそれは現実的に難しいから……」とかっつってたんだろうなとも想像する。
だから私としては「まあオフレコですけど世情的にある程度フェミニズムに乗っかった方が印象いいじゃないですか」とか言ってくれる男のほうが信用に値する。募金する理由として「被災地の人の助けになりたいんです!」と言う人よりも、「税金で持ってかれるよりかは支援したいところを自分で選んで金を出したほうがまだマシだし、そのうえ善人扱いしてもらえて気分いいからです! そのために最初は匿名でこっそり寄付して、その後なんらかの理由で言わざるを得なくなったという手順を踏みます!」と言う人のほうが信用できるのと同じだ。

私は名乗ったことがない

ヤリマンちゃんは正面切ってフェミニストを名乗ったけど、私は自分をフェミニストだと名乗ったことはない。名乗らないようにしている。だって一度フェミニストだと名乗りをあげると、「フェミニストはAを批判するならBも批判しろ!」とかっつって指示されたり「そのやり方は悪手」とかっつってなぜか神目線で評価されたり「フェミニストのくせに◯◯している!!」「フェミニストなのに◯◯しない!!」とか意味不明ないちゃもんつけられたりしてくそダルいからだ。それは「女のくせに◯◯している!!」「女なのに◯◯しない!!」とか言われるよりも圧倒的にダルい。 ただでさえダルいほうの性別に産まれてしまったのにさらにダルいことされるのは損だ。私は損をしたくないし、それとはまた別の話で、なんだか嘘臭いなと思うことは大声で「これは嘘臭いぞ!!」と叫びたくなる性格をしている。
だから「男女平等になったら男性も男らしさの呪縛から逃れ、男性も育休が取りやすくなり、男性の性被害も訴えやすくなり、男性も生きやすくなるんです!」とか言われると、「でもその生きやすさ差っ引いても、やっぱ女と同じ仕事して男のほうが給料が高い社会が維持される方が普通に考えて男はメリット多くないですか?」と 口を突いて出てしまうし、女の悪口も男の悪口も重度のアホだと思われない範囲内で気軽に言いたいし、それでも私が今後医大を受験する予定なんて一切ないにも関わらず女は一律80点減点とか聞くとものすごく不愉快な気持ちにもなる。

繰り返して言うが、私は善人じゃないし悪人でもないので、できるだけ得したいし、できるだけ損したくないし、自分が損をしない範囲内で世界平和を望む、望むだけで特段熱心な活動とかはしない、意味不明ないちゃもんつけられるのはダルいのでイヤだという至極凡庸な感性の人間なので、私はフェミニストではないです、ということを改めてここに明示しておきたい。
10年後にこの文章を読んだ私はまた「ちげーよ!! そこはあえてフェミニスト名乗るところだろ!!」と思うのかもしれないけど。

Text&Illustration/峰なゆか