許すのが良い女なの勘弁。「仕方ないなぁ」って許してあげるのもう飽きたから/長井短

クーラーガンガンの冷たい部屋の中でテレビをつけていると、毎日いろんな人にいろんなことが起きていることを知らされる。それをぼーっと眺めながら、他人に自分の事件が晒されるってしんどいだろうなと感じる。え、普通にめっちゃキツくない? 浮気されただけでもきついのに、それを他人にも知られるって超嫌じゃん! 嫌だろうからできるだけ見ないでおこう…何があったか知らない人が一人でも多いほうが救われるかもしれないし…と思ってテレビを消そうとしたときに聞こえてきたのは「許してあげてほしいですけどねぇ」って言葉で、益々げんなりした。

許すのが良い女なの勘弁

どんな不祥事にも許す許さない問題は生まれる。特に色恋についてのニュースでは「何があったのか」と同じくらい「許すのか許さないのか」にも人々の興味が集まる。でも、「許さないらしいですね」っていう決着のつき方というか、その言葉ってあんまりテレビから聞こえてきたことはなくて、ほとんどの場合は「許したみたいですね、良い奥さんだぁ」みたいなお決まりのフレーズだ。もしかしたら、公には許したように見えるけど本当は許していないこともあるのかもしれないし、場所を問わず許さないっていう決着もあるはず。

でもじゃあ、どうして私の耳に届くのは「許した」っていう結果ばかりなんだろうと考えると、やっぱり「許さない」よりも「許す」のほうが印象が良いし、どんなことがあっても最後は許すっていう筋書きを世間は望んでいるからなのかもしれない。

でもさ?! え、普通に許せないときとかあるよね?!?! 無理して許さなくても良くない?! ってか、別に許すから偉いわけじゃないよね? 許さなくても偉いって流れにしたくない?! だってもう、うちら許し飽きたじゃん?!?! 本でも映画でもドラマでも、許す女登場し過ぎ〜〜!!! せめて生身のうちらは許さない物語歩もうよってなわけで今回は、夏の終わりの許さない講座。許したくないけどなんとなくそれは気が引けてついつい許しちゃう心優しい君とあなたに、私の許さないスピリットをお裾分け。許す女が寛大と見られがちな世の中で、許されようとする奴らを徹底的に許さない、豪傑女を目指しませんか? パートナーの浮気が発覚したパターンで勝手に話を進めるぞ!