ちっちゃな優越感にすがる“くすぶり男子”よ、目を覚ませ!

 このように男子をくすぶらせた者たちが、「僕たちのことを騙さない」「僕たちでも御すことができそう」という臆病な上から目線ですがりつき、逃げ込んだのが、“天然系ほっこり女子”だったのではないでしょうか。

 能年玲奈や、綾瀬はるか、十代の多くのアイドルなどは、そんな「すれていない素朴で天然な女の子」の代表格。
適当で奔放な発言が目立つローラや、ある時期までの上野樹里なども、「取り繕わない」=「本音で嘘がない」というイメージから、このタイプに属します(吉高由里子も、言ってみればその亜流です)。
今では、このようなタイプこそが「不思議キャラ」と呼ばれるようになりました。

 とはいえ、考えてみれば「つたない」=「ピュア」=「かわいい」という決めつけは、女性に対してとても失礼です。
それは、日本語がカタコトの外国人(たとえば往年のケイン・コスギやチューヤン、ボビー・オロゴンなどのように)に対して、まるで彼らの頭の中までがカタコトであるかのように錯覚し、「かわいい〜」などと言ってしまうあさはかさに似ています。

 聞けば、能年玲奈に対して「愛らしい」という評価がある一方で、「あざとくてイライラする」という同性からのアンチ意見があるようです。
しかしこれは、能年玲奈本人への反感というよりは、自分が優越感を感じていられる「つたなさ」「あどけなさ」にしか「女のかわいさ」を見いだせない、卑屈で臆病な「くすぶり男子」たちに対する失望と嫌悪のように、私には感じられました。

 能年玲奈が、果たして本当に天性の不思議キャラなのかは、どうでもいいことです。
世のくすぶり男子たちが、あざとさやしたたかさも含めた女性の「かわいくなりたいという心意気」(そしてそれは、本来あざとさでもしたたかさでもなく、自然な自意識と欲望のはずです)を肯定できる、柔軟さと強さを持つこと。
それが、男と女が不要な被害者意識を持ってディスり合わずに済む世界への、小さな一歩なのではないかと思うのです。

Text/福田フクスケ

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