林雄司さんの回答

林雄司さんの回答

ことしの10月に筑波山の展望台に行ったのだが、これが良かった。
関東平野が一望できるのだ。
双眼鏡があればスカイツリーも見えるし新宿のビルも見える。もちろん富士山も見える。

ここがデートスポットだと思ったのは、一緒に行った理科教師が逆ナンされていたからである。
理由は夕暮れ空に木星を発見したから。

彼がでかい声で「あ、火星だ」「あれ木星ですよ」などと言ってたら知らない女性グループが「見せてください~」と寄ってきたのだ。彼女たちはフィールドスコープを覗いてきゃあきゃあと言っている。
木星でモテてる人、初めて見た。火星とか木星っていったってただの光る点である。天下一品のネオンを遠くから見ても同じじゃん。

嫉妬からそんな悪態をつくのも久しぶりで、もともとの自分の性根の悪さを思い出して嬉しくもなる。

しかし、展望台はロープウェイがあるので歩かないで登れるし、人が少なく静か。そして展望レストラン(休憩所)もあるのでほぼハイアットと同じである。

それだけではない。そもそも筑波山は男女の出会いの場だったのだ。
平安時代、筑波山では男女が集まって飲食して短歌をうたい合うイベントが開かれていたのだが、このイベント、盛り上がったら木陰とかでセックスまでするものだったそうだ。
TINDER山である。(興味がある人は「歌垣 筑波山」で検索してね)

あの木星できゃあきゃあ言っていたあの雰囲気は、1300年の時を経て蘇った筑波山らしい景色とも言えるのだ。

ストイックからエロティックまであらゆるデートのニーズに答える筑波山。そもそも名前が女体山と男体山だ。渋谷にできるビルが女体スクエアと男体スクエアだったら高輪ゲートウェイどころの騒ぎではないだろう。
そんな過去からの贈り物そこ我々は初デートに使うべきだろう。

筑波山の中腹、茂みから現れるラブホテルのアジトっぽさも必見です。

林雄司
1971年東京生まれ。 1996年から「東京トイレマップ」「死ぬかと思った」などの個人サイトを制作し、2002年から「デイリーポータルZ」ウェブマスター。主な編著書に「死ぬかと思った」シリーズ、「やぎの目絵日記」「会社でビリのサラリーマンが1年でエリートになれるかもしれない話」。好きな食べ物はアスパラガス、イカの沖漬け。
Twitter:@yaginome