第4回:『東京ラブストーリー』~恋もドラマも魔法が使えた時代~

 みんな、どう? 最近、「セックスしよ!」って言ってる?
 こんにちは、モテ系リア充ライターの福田フクスケです!
最近、かつて付き合っていたコたちから「私との写真、消してあるよね? ゼッタイ週刊誌にバラしたりしないでよ?」と立て続けにメールがきて困っちゃってます。
さて、私が本当に「モテ系リア充ライター」かどうかは、私の携帯に最近スパムメールしかきていないという厳然たる事実から賢明に判断してくださいね(固く握りしめた拳の中に血を滲ませながら)!

 それはさておき、テレビドラマ冬の時代といわれる昨今、今週も往年の恋愛ドラマをあえて見直し、勝手に深読みしていきましょう!
 
今回も冒頭でいきなりな質問をしてしまいましたが、今週のテーマは「カンチ、セックスしよ!」という衝撃的なセリフで有名な、恋愛ドラマの古典ともいえる『東京ラブストーリー』です。

今見るとツッコミどころ満載のトレンディドラマ

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 都内のスポーツ用品メーカーに勤める帰国子女の赤名リカ(鈴木保奈美)は、天真爛漫な直球天然少女。
愛媛県から上京し入社してきた永尾完治(織田裕二)を、初対面で「カンチ!」と勝手なあだ名で呼んじゃうような、ちょっとイタい子です。
彼女は、素朴で真面目なカンチに心惹かれますが、カンチにとってのマドンナは高校時代の同級生・関口さとみ(有森也実)。
しかし、その関口は医大生の三上(江口洋介)と付き合いだして……。

 そんな恋のもつれを、オシャレな都会生活とともに描き出したこのドラマ。
80年代後半~90年代前半に一世を風靡した「トレンディドラマ」の王者の名にふさわしく、バブル景気のうわついた空気感に満ちた本作は、今見ると半笑いでツッコミを入れたくなるポイントがいっぱいです。

 肩パッドがうず高くそびえるスーツや、セーターをパンツにインしてベルトを締めあげる斬新なファッションは、まあ時代だから仕方ないでしょう。 でも、弱冠24歳のOLであるリカが、イケイケ(死語)の高級マンションに住んでいたり、毎日違うブランドに身を包んでいるナウい(死語)ファッションは、バブル当時とはいえありえない生活。
登場人物は、しょっちゅう恋愛のことばかり考えていて、職場でもプライベートな電話を取り次ぎまくり。「みんな、もっとちゃんと仕事しようよ!」と心配になります。

 なにより、トレンディドラマの醍醐味は、そのクサすぎるセリフの数々。

「24時間好きって言ってて。仕事してても、友達と遊んでても、カンチの心全部で好きって言ってて」
「ちゃんと捕まえてて。私だけを見てて。でなきゃ…よそに行っちゃうよ」
「誰もいないから寂しいんじゃないよ。誰かがいないから寂しいんだよ」
「トホホだよ、カンチがいなくちゃ…」

 メロメロにメロウで乙女すぎるセリフは、いろんな意味で鳥肌モノ。
聞いてるこっちがトホホだよ!

 でも、当時の女性視聴者は、そんなリカに「クサいわあ」とシラけるどころか、「イタいわあ」とドン引きするどころか、うっとりと憧れていました。 それどころか、最終回前のテレビ局には、「ハッピーエンドにしてあげて!」という嘆願が殺到。
恋敵だったさとみ役の有森也実さんの所属事務所には、「リカの恋路を邪魔するな!」という脅迫状まで届いたと言いますから、ぶっとびー!(死語)です。

 では、当時の女性たちはドラマと現実の区別もつかない、ゲーム脳のゆとり世代も顔負けのバーチャルクソ野郎だったのでしょうか?