少女マンガとBLが合体?美しき青年を好きになった男と女の奇妙な三角関係『胸騒ぎの恋人』

 友達と同じ人を好きになった。——恐らく、これは全世界の至る所で行われている紛争の一つです。それも目に見えない銃撃戦。透明な弾丸がたった一人のために飛び交い、笑い、泣いているのです。
それが「胸騒ぎ」って表現されるのだから、余計に目に見えない。「三角関係」の三角の尖った部分がすごく痛い。胸を貫く殺傷力の妬みを味わう。

 もちろん、この物語のフランシスとマリーも貫かれた。バン、バンと銃撃を浴びた。
こちらの場合は男と男と女の三人。少女マンガのときめきと、BLマンガのドキドキが合体した関係性。その乙女心と男心をセットでくすぐるおトクなモヤモヤ恋愛模様を、とくとご覧あれ!

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 恐らく世界で最もイケメンな映画監督ではないでしょうか。グザヴィエ・ドラン監督は1989年生まれ。日本でいうと「ゆとり世代」に含まれそうな年齢ですが、監督のみならず脚本、出演、編集、プロデューサー、コスチューム、アートディレクションまでこなす多彩っぷりでゆとりとは無縁。顔面のみならず、中身すらイケメンなのです。

 本作では主人公のゲイの青年役を担当。彼の作品『わたしはロランス』にも出演していたモニア・ショクリが主人公の親友、『マイ・マザー』のニール・シュナイダーが二人を虜にする青年を演じています。

同じ男を好きになった男女の奇妙な三角関係

 【簡単なあらすじ】
 フランシス(グザヴィエ・ドラン)は、美青年・ニコラ(ニール・シュナイダー)の虜になる。幻想と妄想に取り憑かれ、彼と触れ合う一瞬一瞬に永遠を求めている。しかし、彼の親友マリー(モニア・ショクリ)もニコラに思いを寄せている。二人とも心の内を探るためにニコラの悪口を言ったり、ニコラの思わせぶりな行動に困惑している。
男と男と女の複雑な三角関係。苦悩と葛藤の中、激しい嫉妬が次第にフランシスとマリーの心を蝕んでいく——。