春になると、いつか見た桜の風景を思い出すこともあるでしょう。それが、かつて生きていた娘の姿だったら……。
初の長編監督『飯と乙女』が、モスクワ国際映画祭にてNETPAC賞(最優秀アジア映画賞)に輝いた栗村実監督が贈るヒューマンドラマ。広末涼子とSMAPの稲垣吾郎が娘を亡くした夫婦を演じ、失意のあまり思い詰めてしまった妻と、彼女を必死に支える夫の深い愛が描かれています。
春、桜が咲く季節。小学校入学を目前にして娘・加奈子を不慮の事故で亡くしてしまった母・容子(広末涼子)は自分を責め続け、娘の部屋で自殺未遂をする。現実を受け止められず、「加奈子はここにいる」と独り言を続ける容子。彼女を救いたい気持ちでいるはずの夫・信樹(稲垣吾郎)だが、前を向こうとしない彼女に次第に苛立ちを募らせていく。
そんなある日、容子は妊娠中の女子高生・正美(福田麻由子)に出会う。彼女の子どもを「加奈子の生まれ変わりだ」と確信する容子だが……。
現実を直視できずにいる容子が、すぐ傍にいる夫の言葉に耳を傾ける日は来るのでしょうか。
容子の娘への愛が切実なだけに、観ていて胸が痛くなるシーンも多く、強い愛と決別する覚悟なんて簡単にできるものではないと痛感させられるはずです。
桜の咲くこの季節、新しい道を歩んでいくために、この哀しくて深い愛と向き合ってみてはいかがでしょうか。
たとえ絶望の中にいても、何か1つでも小さな答えが見つかるはずです。
4月6日より新宿ピカデリーほか全国公開
監督・脚本:栗村実
キャスト:広末涼子、稲垣吾郎、福田麻由子、高田 翔 (ジャニーズJr.)
配給:ショウゲート
2013年/日本映画/106分
URL:映画『桜、ふたたびの加奈子』公式サイト
Text/Michihiro Takeuchi