「死にゆく父を撮ってきてほしい」と変わった“おつかい”を頼まれた姉妹が体験する、人間の面倒くささと人生における大切なものを探す旅。かつて少女であり、娘だったあなたに捧ぐ、心が温まる家族ドラマです。
次世代の才能を発掘する「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2012」で、日本人監督として初めて監督賞と“SKIPシティ・アワード”(今後の可能性を感じる監督に授与)のダブル受賞した新鋭・中野量太監督の長編デビュー作。母を『ヒミズ』の渡辺真起子、姉妹を柳英里紗、松原菜野花が演じ、細かな伏線とユーモア溢れる脚本で観る者に感動を与えます。
フリーターの姉・葉月(柳英里紗)と高校生の妹・呼春(松原菜野花)は14年前に父が離婚して家を出ていって以来、母・佐和(渡辺真起子)と3人で暮らしていた。ある日、姉妹は佐和から頼みごとをされる。それは「死期が迫っている父の写真を撮ってきてほしい」というもの。
しぶしぶと出発しつつも、ちょっぴり父に会ってみたい……。そんな2人が田舎町に到着すると、父はすでに他界していたことを知る。そこから始まる思いも寄らぬ修羅場とは――?
「父に会いに行く」という感動的な物語とは裏腹に、そこで待ち受けていたものは全く太刀打ちできない人生の修羅場。
家族の絆を描く映画は多いですが、人間の“ややこしさ”を深く掘り起こし、その複雑な気持ちや関係性から感動作に仕上げている物語に珍しさを感じるかも。
久しぶりに家族と向き合い、人との絆や人生を改めて考える機会になるはずです。少しの間、恋愛や仕事を忘れ、深呼吸する気持ちでこの姉妹を見守ってみてください。
2月16日(土)より新宿武蔵野館にてレイトショーほか全国順次公開
監督・脚本:中野量太
キャスト:柳英里紗、松原菜野花、滝藤賢一、二階堂智、小林海人、渡辺真起子
配給:デジタルSKIPステーション
2012年/日本映画/74分
URL:映画『チチを撮りに』公式サイト
Text/Michihiro Takeuchi