本作で第62回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門でグランプリを受賞し、その名を世界に知らしめたヨルゴス・ランティモス監督によるサスペンスドラマです。
妄想にとりつかれた両親と、言いなりにされる純粋な子どもたち。密閉された空間の中で、人間の極限状態の心理をシュールに描きます。『パパにさよならできるまで』のクリストス・ステルギオグルらが出演し、カンヌだけでなく第83回アカデミー賞で外国語映画賞にノミネート。世界的に評価された歪んだ家族の物語です。
ギリシャ郊外の裕福な家庭。そこには知られざるルールがあった。厳格な父(クリストス・ステルギオグル)と母(ミシェル・ヴァレイ)が、外の汚らわしい世界から身を守るために長女(アンゲリキ・パプーリァ)、次女(マリア・ツォニ)、長男(クリストス・パサリス)の3人の子どもたちを家の中に閉じ込めて生活している。
学校にも通わず、両親から“外の世界は恐ろしい”と思い込まされた3人はそれなりに幸せに生活し、すくすくと育っていった。しかしある日、父が外の世界から人を連れてきたことで、家族の中で変化が起きる――。
家族の絆を守るために外界との接触をシャットアウトさせる両親の子どもへの愛は、果たして正しいのでしょうか。
理想の家族とは何なのか? 愛すること、守ることとは何なのか?
恋愛においても考えさせられる点があるかもしれません。浮気を恐れるあまり、他の人との接触を避けさせ、恋人をきつく束縛することは愛なのでしょうか。愛するがあまりに大切なことを見失ってしまったら…。この家族を反面教師にし、“理想の愛の形”を教えてもらいましょう。
8月18日(土)より渋谷イメージフォーラムにてロードショー
監督:ヨルゴス・ランティモス
キャスト:クリストス・ステルギオグル、ミシェル・バレイ、アンゲリキ・パプーリァ、マリア・ツォニ、クリストス・パサリス
配給:彩プロ
原題:Dogtooth/2009年/ギリシャ映画/96分
URL:映画『籠の中の乙女』公式サイト
Text/Michihiro Takeuchi