キスができないのはニキビのせい?『アクネ ACNE』

 初体験にまつわる気恥ずかしい思い出は、誰もが持っているはず。本作の主人公である一生懸命だけど空回りする少年ラファエルの心の揺れ動きは、微笑ましくもあるけど、ちょっと切ないところもあり、思わず応援したくなります。
そんな甘酸っぱい作品を手がけた監督は、本作が長編デビューにも関わらず、カンヌ国際映画祭などの国際映画祭に招待され、一躍国際的評価を得たウルグアイ出身の新鋭フェデリコ・ベイロー。
ウルグアイの海岸の街を舞台に、早く大人になりたい少年のイケない妄想とリアルな恋模様が描き出しました。

 13才、中学生のラファエル(アレハンドロ・トカー)には思春期ならではの悩みがあった。
それは、女の子とのキスの経験がないこと。そして、ラファエルはその原因を、自分の顔にニキビがあるせいだと思い込んでいたのだ。
学校のマドンナであるニコル(ベレン・ポーチャン)に、淡い恋心を伝える勇気も自信もなく、悶々と過ごす日々。
更には、両親の離婚や、友だちがイスラエルに引っ越すことがラファエルを落ち込ませる。
キス以外の男の経験を積んで自信をつけようとしても全部空回り。
それでも、日に日に初キスへの思いがつのるラファエル。彼は無事、キスに辿り着くことができるのか…。

あなたは、初めてのキスのことを覚えていますか?
きっと誰もが臆病になり、ドキドキしながら体験したことでしょう。思春期の少年のウブさに笑いながらも、恋を始めたばかりの頃の懐かしい気持ちがよみがえってくるはずです。
大人になって、誰に話しても恥ずかしくないようなきちんとした恋を楽しんでいる方が多いかもしれません。
しかし、真の恋愛には、どこか必ず初恋のあの気恥ずかしい感情が混ざっているものなのではないでしょうか。
ぜひこの作品で、恋の初心を思い出してみてくださいね♪

5月26日(土)よりシアターN渋谷にて3週間限定モーニング&レイトショー

監督・脚本:フェデリコ・ベイロー
キャスト:アレハンドロ・トカー、ベレン・ポーチャン、アナ・フリア・カターラ、グスタボ・メルニック
配給:アットエンタテインメント
原題:Acne/2008年/ウルグアイ・アルゼンチン・メキシコ・スペイン・アメリカ合作映画/84分

Text/Michihiro Takeuchi