秘密は秘密のままでいい

映画 大人の事情 パオロ・ジェノヴェーゼ イタリア映画
©Medusa Film 2015

 全編、ほとんど料理の並んだテーブルが舞台であるにも関わらず、アクション映画顔負けの迫力、はたまたホラー映画を凌ぐ恐怖がここに描かれている。携帯が殺人鬼のように登場人物を切り裂くのだ。

 だが、その正体はただの通知。いつでもどこでも今も鳴っている携帯から、人間関係はいとも簡単に壊れていく。
そして、その通知は浮気だけに留まらず、決して触れられたくない秘密の事情までもを暴いていく。そこで危ぶまれる信頼関係から、そもそも親友って? 夫婦って? という普遍的なテーマが浮かび上がる。
プライドが嘘を生み、またその嘘が誤解を生み、誤解から信頼が失われてしまう。

 そもそも秘密を共有する必要はあるのだろうか。誰にだって一つか二つは誰にも言えない事情がある。大人になってからそれは多くなっただろう。誰を守るために、自分を支えるめに、秘密は秘密のままでいいのだろう。

 ただ、それらをすべて収める恐ろしい機械を私たちは今日も肌身離さず持ち歩いている。その事実に改めて気づくべきなのかも知れない。

 現代に生きるすべての人が本作から教訓を得ることになる。
親しい人がそばにいる時は、なるべく「通知は切ったほうがいい」。それが親友が親友でいるための、夫婦円満でいるための秘訣なのかも知れない。

ストーリー

 新婚のコシモとビアンカ、反抗期の娘と妻エヴァに板挟みに遭っているロッコ、倦怠期のレレとカルロッタ、恋人に今夜のディナーを断られたペペたち男女7人が一堂に会し、夕食を楽しむ。

 エヴァが食事中にかかってきた電話・メールをみんなで見せ合いっこしようと提案し、詰め寄る女性陣に男性陣は仕方なく承知し、テーブルに7台の携帯を置く。

 メールが来たら全員の前で読み上げる。電話がかかってきたらスピーカーモードにして全員に聞かせる。そんなルールのもと、信頼関係を確かめるゲームがスタートする。

3月18日(土)、新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー

監督・脚本:パオロ・ジェノヴェーゼ
キャスト:ジュゼッペ・バッティストン、アルバ・ロルヴァケル、ヴァレリオ・マスタンドレア、アンナ・フォリエッタ、マルコ・ジャリーニ、エドアルド・レオ、カシア・スムトゥニアク
配給:アンプラグド
原題:Perfetti sconosciuti/2016年/イタリア映画/96分
URL:『おとなの事情』公式サイト


Text/たけうちんぐ

次回は<まさかの20年ぶり続編!裏切り者が帰ってきた『T2 トレインスポッティング』>です。
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