愛は外見で決まらない?
前半はウジンの苦悩を中心に描くが、後半はイスの葛藤に焦点を当てる。
幸せな日々はそう長くは続かず、ウジンの絶え間ない変化からイスは精神的に追い詰められていく。
毎日姿の変わる恋人は、他人にとっては「複数の男性」にしか見えない。
毎日取っ替え引っ換えしているように思われ、尻軽女に見られる。決して世間から認められない。
昨晩愛し合った人が翌朝知らないオッサンになるなんて。 想像するだけでも無理すぎる。
目まぐるしく変化していくウジンに、イスは次第に取り残されていく。
前向きに捉えると、色んなイケメンと愛し合える、毎日姿が変化するから飽きない。しかし、それと一生付き合うことになるイスは「慣れない」と嘆く。
「恋人の顔を思い出せない!」
まるでイス自身が記憶喪失の“病気”にかかってしまったかのように、その葛藤がウジンとイスの心に隔たりを作ってしまう。
人はある程度、日に日に変化していく。あの頃の情熱も年月が経つと形を変え、跡形もなく消えてしまうことだってある。
毎朝昨日の記憶が薄れ、新しい自分が鏡に映る。今すぐではなくても、いずれ容姿だって変わってしまう。
この物語はそれを強調して描く。変化に抗うカップルの愛の深さを試している。
愛は外見で決まらない――。
使い古されたこの陳腐なテーマを、本作は独創的なストーリーに昇華させている。
「相手の変化を受け入れる」ことこそが、互いの絆を強くさせるのだ。
恋人の姿が毎日変わっても、愛し続けられるか。
さすがに翌朝に小汚いオッサンにならないとしても、いずれそうなってしまうものなのですから。
あらすじ
18歳の時から、毎日目が覚めると外見が変わるようになってしまったウジン(キム・デミョン、ト・ジハン、パク・ソジュン、イ・ジェジュン、上野樹里 他)。
男、女、子ども、老人、外国人と性別、世代、国籍を超えて変わるため、人に会う仕事ができずインターネット上で家具デザイナーとして働いていた。
そんな中、ウジンは家具屋の店員・イス(ハン・ヒンジュ)に出会い、恋に落ちる。
イスをデートに誘って好意を抱かれ、上手くいったウジン。
だが、寝て目が覚めると別人になってしまう。
やがて年下の女性に生まれ変わってしまったウジンは、イスに真実を打ち明ける。
果たして、イスはウジンを受け入れることができるのか?
1月22日(金)TOHOシネマズ新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開!
監督:ペク
キャスト:ハン・ヒョジュ、パク・ソジュン、上野樹里、イ・ジヌク、キム・ジュヒョク、ユ・ヨンソク他
配給:ギャガ・プラス
原題:THE BEAUTY INSIDE/2015年/韓国映画/127分
URL:『ビューティー・インサイド』公式サイト
Text/たけうちんぐ
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