衝撃的な展開と、新たな真相。早くこのページをめくりたい!
「こんなのエピソード4〜5の焼き直しだ!」
このような否定的な意見はもちろんたくさんある。総集編とも受け取れる本作の欠点はそこだが、逆に新たにこの世界に入り込む人にとってこんなに親切な最新作はない。
J・J・エイブラムスは映画史上空前のプレッシャーを味わっただろう。ジョージ・ルーカスですら、新作を作るたびに批判されるのが嫌で降りたという。そんな頭が凝り固まった世界中の『スター・ウォーズ』ファンを相手に、「色々と小難しいことを考えてきたけど、そういやスター・ウォーズってこんな話だったよな」と原点回帰できるものを分かりやすくポップに作り上げた。
さらに旧作がもつアナログ感溢れるぬくもりも忘れない。
極力VFXに頼らず、特殊メイクやロケーションでその世界観を構築する。それはかつてビテオテープで観た『スター・ウォーズ』を思い出させ、J・J・エイブラムス自身もルーカスのフォロワーだと自認し、同じ目線に立ってくれているかのようだ。
これを「ファンメイドの新シリーズ」と揶揄する人もいるが、本作には衝撃的な展開や新たな真相が用意されている。
レイの未知なる能力が示されるストーリーに、その正体が早く知りたくなる。次のエピソードを予感させるエンディングに心がザワザワする。これに微塵も胸が躍らないファンなんて本当にいるのだろうか?
誰もが知っているシリーズだからこそ、もう一度どういう作品だったのか改めて振り返りたい。それは初期衝動とも言える。 リスペクトに溢れた『フォースの覚醒』は、『スター・ウォーズ』シリーズの入学式であると同時に、優しい先輩たちがもういい大人なのに少年のような目を輝かせている同窓会でもあるのだ。
あらすじ
エンドアの戦いから約30年後。最後のジェダイであったルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)が姿を消し、銀河帝国の残党から生まれた悪の組織「ファースト・オーダー」とレジスタンスは戦っていた。
レジスタンスのパイロットであるポー・ダメロン(オスカー・アイザック)は惑星ジャクーでルークの居場所が記された地図を手に入れるが、カイロ・レン(アダム・ドライバー)率いるストーム・トルーパー隊に捕らえられ、ドロイドBB-8に地図のデータを預ける。
そのストーム・トルーパー隊にいたフィン(ジョン・ボイエガ)が脱走し、やがて砂漠のオアシスで廃品収集をする女・レイ(デイジー・リドリー)と出会い、広い銀河の旅をともにする。
全国公開中
監督:J・J・エイブラムス
キャスト:デイジー・リドリー、ジョン・ボヤーガ、オスカー・アイザック、アダム・ドライバー、ドーナル・グリーソン
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
原題:STAR WARS: THE FORCE AWAKENS/2015年/アメリカ映画/136分
URL:『スターウォーズ/フォースの覚醒』
Text/たけうちんぐ
- 1
- 2