50年間の大切な思い出が消えることの恐ろしさ
全てが一瞬で過ぎ去っていく。
次女・リディアの日記を勝手に覗いて、激昂されたこと。長男・トムの恋人に会って挨拶したこと。
意識はハッキリしているのに、他人と一瞬しか共有できない恐ろしさが生々しく、痛々しく突き刺さる。
また、彼女自身が何十年も仕事に身を捧げてきた言語学者であるが故に、その喪失感がより一層際立つ。
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しかし、本作は恐怖だけを描いてはいない。
子どもたちは母親の病状に戸惑いながら、懸命に寄り添うことで自立していく。アリスの前では怯むことなく勇気づける夫・ジョンが、その陰では娘に抱きついて泣く。
家族全員の優しさからくる“強さ”と“弱さ”が切なくて、その愛情にひたすら心が震えるのです。
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