男女の関係が落ち着くタイミングってどこにあるのでしょう。
付き合った。結婚した。子どもが産まれた。それぞれ人生のイベントの節々はゴールでもあり、スタートでもある。でも、何一つ落ち着くことなんてない。
歳を取れば落ち着くなんて誰が決めた?
それは、ジョルジュを巡って火花を散らす男女6人を見れば一目瞭然。いつまでも経っても変わらない“男女の愛を巡る駆け引き“、これが世界の巨匠が最後に選んだ物語(テーマ)だなんて。
2014年3月に息を引き取ったフランスの映画監督アラン・レネ。享年91才の彼はこれまでにナチスのアウシュビッツ刑務所の内部を初めて撮影したドキュメンタリー『夜と霧』や、『二十四時間の情事』、『去年マリエンバートで』など数々の作品で世界中に衝撃を与えてきました。
そんな彼が最後に遺した本作は、2014年ベルリン国際映画祭で「アルフレッド・バウアー賞」を受賞。この賞は本来革新的な若手映画監督に与えられる賞ですが、作品を生み出すごとに新境地を開拓してきたアラン・レネへの最高の賛辞として与えられました。
今までに観たことのない手法に挑戦することで若々しさがありながら、味わい深いメッセージを遺しています。
人生の最期に見出した“男女の人間模様”
【簡単なあらすじ】長年来の友人・ジョルジュの死期が迫ったことを知った3組のカップルは、彼の残りの人生を良いものにしようと一致団結する。しかし、最期の夜を誰が一緒に過ごすかで、それぞれ友人以上の関係であったと暴かれていく女たちは、火花を散らすことになる。
生真面目な性格のコリン(イボリット・ジラルド)は、その妻カトリーヌ(サビーヌ・アゼマ)が若い頃にジョルジュと付き合っていたなんて知る由もない。ジョルジュと友人以上の関係だった女たちに、男たちは右往左往してしまう。
ジョルジュの死期を知って途方に暮れていたはずの男女は、その後思いもよらぬ展開へ――。