コンプレックスを原動力にしても、到達できない場所がある

またコンプレックスで頑張り、一定の結果を出せたとしても、その後「これじゃないんじゃないか?」という疑問が浮かぶことはよくあります。
せっかく理想通りの条件の彼氏ができたのに、付き合ってみたら気持ちが全然のらなくて半年そこらで別れてしまったとか。芸能人でもよくあるのが、今までがむしゃらに頑張って手に入れた成功を捨てて、長期休暇を取ったり引退したりしてしまう人もいますよね。
これもある意味、そもそも使うエネルギーも設定する目標も間違っていた、なんてことだったりします。

人間はネガティブなパワーを原動力にしても、長く頑張ったり取り組むことができません。その理由は先程ご説明したように、自分いじめになってしまい、心に無理が溜まっていくからです。
だからこそ、コンプレックスをバネに頑張ったとしても、それは期間限定にするか、本当に心が望むものを探ることを前提にした方がよい。できることなら、最初から心からワクワクする理想を追い求めた方がいいんです。とはいえ、難しいのですけれどね。

自分の中の「悔しさ」を手放すには

自分の心から求める理想を描くには、とにもかくにも「悔しい」とか「見返したい」とか、そういうネガティブな心を開放してあげることが必要です。ではどうしたらいいか。
それは、他人に対するネガティブな気持ちは、実は自分に向かった怒りや罪の意識であることに気づくことです。

たとえば、失恋した女性が「あんな男より、次はもっといい男を見つけてやる!」という気持ちを抱いたとします。一見あんな男への怒りでいっぱいかもしれませんが、その裏にはあんな男を選んだ自分への苛立ちがあったりします。
まずはその“自分に向いているマイナスの気持ち”を許してあげることで、苦しいラットレースから抜け出せるかもしれません。

何度も言いますが、「悔しさをバネに頑張る」ことは否定しません。否定はしませんが、そこだけで突き進むことは、自分を傷つけながら進むことになります。
自分の心を守ってあげられるのは、まずは自分です。あまり奮起させすぎず、どうか穏やかに心が求める幸せを、探ってみませんか。

Text/おおしまりえ
初出:2019.03.06