追い詰められて気づいたLINEで相手に期待すること

「最近おもしろいマンガあった?」「ご飯いかない?」「この日は何してるの?」「今日はこんなところへ行くよ」みたいな、要約するとカップル間のLINEとそう変わらない父からのLINE。
正直私は、父親とLINEをマメにするのが面倒臭い。連絡をもらって読むのはいいのだけど、返信をするのがとにかく面倒くさい。できれば確定している用事のときだけ連絡をさっとくれればいいし、ご飯は食べたくなったら、こちらから連絡したい。
そう思っていたのだけれど、この心理って、そのまんまカップル間のミスマッチと同じではないか!!! と思ったら、急に申し訳なさと親近感がわくではありませんか。

つまり、父は私に恋するJKなのだ(まあ違うんだけど)。
私からのLINEが欲しくて、できれば会いたくて、キャッチボールをしたくて仕方ないのだ。そう思ったら、かなり可愛らしく見えるけど、でもこれは、イライラや面倒くささとはまた別の感情なわけであります。

LINEというコミュニケーションで、相手を思い通り動かしたい

どんなに相手を可愛らしいなー大切だなーと思っても、LINEを返す面倒臭さは打ち消せない。そこには受け取る側のときも送る側のときも、相手に“こちらの意図通り動いてほしい”と望んでしまっているからなのかもしれません。

送ったとき、「早く返事がほしい」「YESの返事が欲しい」など、私たちは相手に大小何かしらの期待をします。
でも現実は、早く返事も来ないし、断られるし、既読スルーされるしで、相手は全くこちらの意図通り動かない。他人だから当たり前なのに、愛しているならこちらの意図通りにしてほしいと期待し、悶絶してしまうのです。

また、「待つ」という行為には、怒りや妄想を肥大化させる効果があります。
ただ相手としては「面倒だから後で返そう」という理由で放置していたものも、待つ側は「嫌われた」「ウザいんじゃ…」「別れたいのかも」「もう好きじゃない」と、時間とともに気持ちが落ちていきます。
ちなみにこの時間がたつほど落ち込む原理は、人間のリスク回避本能なので、当然のことであり、仕方ありません。

父と私のLINEのやり取り。周りの人に話すと非常にほっこりされることが多いのですが、私としてはかなり面倒で、そんなに喜ばしいことでもありません。
ちなみに私は父親を待たせている側なので、ある時「返信おそくてイライラしたり、気になったりしないの?」と聞いたら「全然」と一括されました。

あんなにいろいろボールを投げておきながら、全く気にならないってのもどうかと思いますが、なんでかなと観察していたら、なんのことはない。常にたくさんの人にLINEとメールとSMSを送ったり読んだりしているので、送りつけても待ってはいないのです。
つまりLINEの返事がない不安や怒りを避けるためには、「考えない」「待たない」という選択を取るしかない。

69歳の父から教えてもらった、LINE恋愛の教訓であります。

Text/おおしまりえ
初出:2018.08.22

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