「どちらかが間違っている」のではなく

まずは、あなたの立場になって状況を整理してみましょう。

年齢的にも、交際期間的にも、そしてなにより彼のことが好きだから「そろそろ結婚かな?」という気持ちになってきているんですよね。
さらには、デートの回数も少ないし、連絡もいつも自分からだから、将来を見据えた先に結婚があるのなら、一緒に過ごす時間を増やすためにもいっそのこと同棲をはじめてもいいのではないか、と。
彼もあなたと同じ考えを持っているならば、非常に合理的な提案だと思います。
なんだったら、マンションの更新時期まで考えて、内見に行こう! と行動を起こしてくれるなんて、頼もしいとも取れるでしょう。

ただ、それはあくまでもあなたの言い分、あなた目線で物事を見た場合の話です。彼からしたら、今の関係性に不満もなく、わざわざそれを変えたいと思っていないようですから、あなたの言動に対して「ずいぶんと勇み足だな…」「今の関係がすごく心地良いのに、なんでわざわざそれを変えようとするのだろう…」などと、もしかしたら思っているかもしれません。

結婚や同棲の話に限らず、日頃の付き合い方でもそう。あなたは「海外旅行に行きたいってずっと言っていたのに、いつの間にか有休をとって自分の趣味だけに費やしていたなんて…」「いつも連絡はわたしからしかしないし、彼は自己中心的な人だ」と思っているようですが、もしかすると、彼からしたら「え? 自分の有休を自分の趣味につかってなにがダメなんだろう…?」「彼女からの連絡、ずいぶん多いなぁ…」と感じている可能性もありますよね。

これはあくまでもわたしの想像なので、必ずしも彼がそう思っていると言い切ることはできません。
あなたばかりが間違っている、そして彼が正しい、と断定して切り捨てているわけではないので、早とちりしないでくださいね。

わたしが伝えたいのは、あなたにはあなたの、彼には彼の物事の見え方・捉え方があり、それぞれ違った意見を持っているんだよ、ということ。

恋愛において、不満を抱えているのが“どちらかだけ”もしくは”一方的に“というのは、ほとんどないと思います。
不満が生じる原因の多くは、意見や考え方の違いです。
先にもお話したように、その違いというのは「どちらかの意見が極端に間違っている」という意味ではなくて(法律的・倫理的に明らかにおかしい場合もありますが…)、「自分とは違った意見や考え方を持っている」ということ。
それをお互いに忘れてしまっていると、すれ違いが生じたときに話し合いをして歩み寄ろうとしているのは自分“だけ”という感覚につながってしまうのではないでしょうか。

「だから彼に愛されていない」に結び付けないで

相談文の中には、「会えば愛されている実感がある」「愛されている実感がない」と、相反する気持ちが書かれていますね。
それは恐らく、彼があなたのために愛情を感じられるなんらかのアクションを起こしてくれているかどうか、という基準で判断しているように思ったのですが、いかがでしょうか。
たとえば、彼があなたに対して「好きだよ」とか「かわいいね」と言葉にしてくれたり、一緒に過ごす時間が楽しいといったことから愛されているように感じるけれど、同棲に尻込みをしたり結婚を考えられないといった発言からは愛されていると感じられない、というような。

愛情は、自分が求めたら求めた分だけ得られるものでも、期待したことに相手が応えてくれないからといって“愛されていない”と判断できるものでもありません。
あくまでも、お互いに「相手になにかしてあげたい、だって好きだから」という感情が自然と応酬されることによって、少しずつ目に見えてくるものではないでしょうか。
だから、「彼が自分の思い通りに行動してくれない」という不満を、「だからわたしは彼に愛されていないんだ」と繋げてしまうのは、少々残酷だと思います。

ただね、あなたの気持ちもすごーくよくわかるんですよ。
お互い30歳を過ぎて、付き合って2年となると、なんとなく世間的に「そろそろ結婚じゃない?」って風潮がありますよね。

正直なところ、そういう世間が無責任かつ勝手に押し付けてくるような風潮に対しては「ウゼェ~~~わたしの人生なんだからほっといてくれ~~~!!!」とは思うのですが、社会生活を送っていると自ずと耳に入ってきますし、それを完全に無視してひとつも気に留めることなく暮らすのは、やっぱり難しい。
将来的に子供が欲しいかどうかについては書かれていないのでわかりませんが、もしも子供が欲しいと考えているのなら、女性には出産のタイムリミットもありますから、焦りや不安も生じるでしょう。
もしわたしがあなたの立場だったら、彼のあまりののんびりっぷりに「2人の将来のことなのに、なんで何も考えてないの?!」「英語の勉強なんて同棲してもできるだろ!」「お互い好きなら同棲したってよくない?!」と凄みをきかせていたかもしれません。