強いと愛されない、わけじゃない
あなたの現時点での目標は「彼氏をつくること」「誰かに愛されること」だと読み取れたのですが、だとしたら別にモテる必要はないのではないでしょうか。
モテなくたって、彼氏はできますよ。
「彼氏がほしい=モテたい」と同列にしているから、願望とセルフイメージの間に剥離でき、戸惑いが生じてしまっているように思います。
そもそも、何もせずとも不特定多数の相手から好意を寄せられて、様々な決定権が自分にある“受動的なモテ”と、あなたが手に入れた“強さ”に因果関係はあるのでしょうか?
たしかに、女性に対して「守ってあげたい」「助けてあげたい」と思う男性はいますが、強いからといって人から愛されないわけでも、彼氏ができないわけでもありません。
きっとあなたはこの辛い失恋に直面して、好きな人に振られても涙を我慢し、縋る言葉を飲み込み、悲しみを乗り越えようと踏ん張ったことで、“自分を守る強さ”を手に入れたのだと思います。
自分を守る強さは持っていた方がいいですし、とても大切です。
でも、自分を守る強さは頑丈に見えて、案外脆く、壊れたときに直すのは簡単なことではありません。
自分は完璧に守っているつもりでも、予想外の方向から攻撃が飛んでくる瞬間はいくらでもありますし、傷つかないようにと熱心になってしまってばかりいては、傷の治し方を忘れ、助けてくれる人が誰なのかがわからなくなってしまいます。
そしてときに、防御が過ぎるあまり、他人への攻撃に変化してしまう可能性も孕んでいるのです。
今のあなたのように、頑ななことや素直じゃないことを“強さ”だと履き違えたままだと、あなたの心に入り込もうとしてくれる人はなかなか現れず、たとえ愛されたとしてもそれに気づけず苦しくなる一方ではないでしょうか。
“強さ”には、いろいろな考えや種類があります。
あなたが考えているように、人に頼らなくても生きていける、たいていのことは自分で解決できる、様々な困難を乗り越えられる、ちょっとやそっとのことでは傷つかない、人前では涙を見せない、などももちろん含まれるでしょう。
さらに、自分や他人の感情と真摯に向き合う、人の痛みや悲しみを想像できる、自分とは違う人も受け入れようとする、つらいときにつらいと声をあげられる、捨ててしまいたい感情が自分に寄り添ってくれるものへとかたちを変えるまで付き合っていくこともまた、ある種の“強さ”だと思います。
その、自分と他人の弱さを蔑ろにせず、慮る努力ができる“強さ”は、時に自分を救ってくれます。
なぜなら、想像すること、知ること、思いやることは、自分を守りきれなかったとき、だれかを守りたいと思ったとき、巡り巡って支えとなってくれるからです。
きっとこれから先、必要になる場面が幾度となくあるはず。
あなたにはその、自分を救ってあげられる柔軟な強さを持っていますか?