8月某日。夏休みも終わりに差し掛かった頃、私は自分の夏休みを振り返っていた。
何かやり残したことはないだろうか・・今年の夏、大丈夫だった?私、ちゃんと楽しめた?スマホをだらだらいじりながら回想してみて、まぁこんなもんでしょう、なかなか楽しかったですと自分に言い聞かせた時、ふとインスタグラムに表示される知らない女の写真。
「ナイトプールだ・・」
いつの間にかめちゃくちゃ流行っているナイトプール。怪しく光る水面、ユニコーンにまたがる女の子、そして谷間。
途端に「けっ」って気持ちになった。何がナイトプールよ。夜にプール入ってるだけじゃん!そこに行って?何?写真撮るの?盛って?で?ナンパされんの?けっ!と思った数秒後、血の気が引いた。
「私、ダサくない・・?」
鉄の掟・ディスるなら経験してから
ナイトプールに行ったことがない。行ったことがないのに、そこで楽しんでいる人たちを指差して「何あれ〜」なんて言いながらバカにしたように笑うなんて、ちょっとダサすぎる。
なんかもう、その角度で流行ってるものを見るの古いし。しかも、知らない女の子たちだ。彼女たちがどんな気持ちで、目的でナイトプールに行ったのかも知らないのに。
もしかしたら半年ぶりの休みだったのかもしれない。5年ぶりの再会かもしれない。独身最後の夜かもしれない。私の知らない女の子たちの人生を勝手に「ナイトプール=どチャラのパリピ」で束ねるなんて。
別にどチャラのパリピでもいいし。もう、もはや暴力だよ!ごめんなさい!私、暴力を振るっていました!!すごく反省する一方で、やっぱりどこか「ナイトプールなんて」と思ってしまう私もいて、さてはてこれはどう折り合いをつければいいものやら・・
そこで選んだ苦肉の策。「いや、もはやナイトプール行けよ」
これだ!
私がナイトプールに行ってみて楽しくなかった時、初めて「ナイトプールなんて」と堂々と言える。だってそれは、私の抱いた感想だもん。そんなわけで私はついに、ナイトプールに向かったのでした。