足していくこと、すり減っていくこと

「好きな人が神様」だと言われていたCちゃんは、いつでも楽しそうだった。サッカーにハマった時は心からチームを応援しているように見えたし、芸術肌の彼と別れた今も、美術館巡りは彼女の趣味だ。彼女は自分の人生に、相手の好きなものを足していく感覚だったのかもしれない。一方のわたしは、「我慢する・がんばる」がメインだったから、自分の人生から好きなもの(快いもの、楽なもの)を引いていく感覚に近かった。

恋人に合わせて見た目や趣味が変わることは、全く悪いことではない。むしろ、誰かをきっかけに新しい世界が拓けることは、すごくいい事だと思うのだ。

紆余曲折を経て、今やっと恋人と対等な関係を築けるようになった気がする。どっちでもいいところは相手の意見を取り入れて、そうじゃないところは自分の意志で。
彼は神様じゃなくて人間だから、これからも人間同士のコミュニケーションをとっていければいいなと思う。

Text/白井瑶

次回は<恋愛は人生の必修科目ではない。自分の魅力を他者に委ねるのはしんどいから>です。
彼氏がいない時期は不安でどうしようもなくなる。恋愛をすることで自分にも魅力があることを誰かから認めてもらえるから。でもそれってしんどくない?自分自身で自分のいいところを発見できれば、生きるのはもっとラクになる。