「本当の自分の気持ち」と向き合うには?

米代

やっぱり、「人に見られない」ことって大事ですよね。私もごく少数だけにフォローされている非公開SNSアカウントで吐き出していたときがあったんですけど、2~3人であっても、人目があるとダメでしたね。本当の気持ちにならない。

ぱぷりこ

どうしても「人から見られている自分」が出てしまって、粉飾が生まれますね。粉飾は本当にやめたほうがいいです。本当はそう思っていないし、わかってるつもりでも、書いた文字を自分で読むことで自己暗示をかけてしまうから。セフレ沼にハマった子が「私、彼を受け入れたい!」って言っているうちに完全に信者になってしまう……というのもよく見ます。「そんなんじゃない!」って真っ黒い内面を出した方が絶対にいい。私も昔から人間の感情がわからなすぎて、わからない人間に関してえんえん考えた結果、「解体」するようになったんですけど。

米代

あります!一晩中「わからない人間」に関して考えちゃって眠れなくて、6時間くらい経ってることが……。「こんなに考えちゃうなんて、好きなの!?」ってくらい。全然好きじゃないんですけどね(笑)。

――どういうことを考えているんですか?

米代

その人と対話したときに何に違和感を感じたか、ですね。そのときの言葉や動作を逐一思い出して、「あの言葉を繰り返すってことは、あの人はこういうことに関する執着心があるから……」みたいな感じで。でも結局のところ、それは私が作りあげたストーリーなんですけど……。

ぱぷりこ

それを踏まえた上で、でも自分が浄化されるためには必要じゃないですか。大事なのは、その仮説を鵜呑みにして決めつけないこと。仮説を作ってその人に臨むけど、これはあくまで仮説だから、いつ棄却されてもかまわない……という姿勢で。

米代

ぱぷりこさんのそういうフラットなスタンスが、本当に素敵だなと思っています! 前回「人は合理性だけでは生きていけない」という話をしたじゃないですか。私はむしろ、自分が合理的すぎちゃって、なかなか恋愛に発展できない。自分のイメージの範囲で相手を見てしまうから、生身の人間としての相手を受け入れられなくて幻滅することも多いし……。それに、「生身の人間とのコミュニケーション」は十分担当さんとやってるんですよ。同性ですけど。

――漫画家さんと担当編集さんの関係って、本当に濃密ですもんね。

米代

ネームがうまくいかなくて私が落ち込みすぎていると「なんで私があなたのメンタルのケアまでしなくちゃいけないの!」って怒られたり、逆に担当さんが体調を崩していると「私が頑張って売れっ子にならなくちゃ」って思ったり。担当さんとは険悪になっても、できあがった原稿がうまくいけば仲直りできるんですよ。だから、同じことを恋人とやるの……?もう担当さんで十分では……?て思ってしまうんです。

ぱぷりこ

それは確かに恋人関係に似てるかも(笑)。まさかの展開でした。米代さんからのお焚き上げも、いつでも歓迎です!(笑)

――ぜひお二人だけのときに(笑)。今日はありがとうございました!

(おわり)

Text/常盤川ゆめ