キラキラ光る若者の爽やかな世界
ゲストハウスのスタッフたちはたいていみな旅好きですが、男子のひとりは、旅先で知り合った女子を追いかけて北海道まで来て、そのまま住みついているのだそうです。人生は自由なんだなあ。
愉快な仲間と、楽しい仕事を、住み込みで。ごはんをみんなで分け合い、なんの天国ですかここは。
この宿には、薄汚いものがひとつもありません。あるのはキラキラ光る若者と爽やかな風だけ。
とまあ、目の前で青春☆ドラマが繰り広げられていたわけですが、その時和久井は、旅先で書くのをすっかり忘れていた原稿に必死に取り組んでおりました。
SOLOの姉妹サイト「AM」 からの依頼の原稿で、「ラブグッズを使って彼とのエッチをもっと楽しく!」 という感じのヤツです。
「グッズで締まりをよくしました」とか
「彼があっという間に……」とか
ピー音ガンガン入りそうな体験投稿を読みあさり「これだ」というものをピックアップして文章を成型します。
爽やか男子たちを横目にしながら、これほど自分が薄汚れてしまったと痛感した日はありません。
その男子たちが、ラウンジでパチパチパソコンのキーを叩いている和久井のところへ来て、
「お仕事ですか?」
「なにをされてるんですか?」
と無邪気に無垢な瞳で尋ねてきます。
「ああ、女子のあそこの締まりをよくするラブグッズを使って、彼をビンビンにさせる体験談を書いているんですよ。なんかもう、トロットロみたいよ。どう? きみも」
……いや、ないない。言えません。
肉欲のカケラもなさそうなこの爽やか世界に、エロウィルスを投下したら末代まで祟られそうです。
「いろんなこと書いてるライターです」
とお茶を濁したわけですが、その「いろんなこと」のうちのひとつとして、今回君たちのことを書かせてもらいました。
いつまでも青春☆ドラマハウスでいてください。
まぶしすぎるけど隣で見てみます。
Text/和久井香菜子
※2017年1月18日に「SOLO」で掲載しました
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