1974年2月14日 スターを好きになることはバカらしい

 きょうはバレンタインデーだった。女の子から愛を告白してもいい日。学校では、チョコレートをあげるという子がいっぱいいたみたい。私は今だかつて、バレンタインのチョコレートなんて買った事もないし、あげた事もない。
もちろん今年も相手がいないから、あきらめました。ヒロミなんてダメです。あの人は、あまりにも人気がありすぎるもの。私はその中の何百万分の1の存在でしょう。
友だちには、ヒロミにチョコレート送った子がいるけど、私はそんな事する気は全然ない。私、このごろ思うの。スターを好きになりすぎるほどバカらしい事はないって。

 だって、どうせ伝わらない思いなら、ふつうの男の子を好きになりすぎて、片思いでいた方がズットいいと思うな。それだったら、その人に何かあった時や、会えないからといって心が乱れてもかまわない。だから、そういう人が早く私の前に現れて欲しい。そうすればヒロミの事なんてきっぱりと忘れられると思う。

 でも、今は女子校だし、きっかけもなくて好きな人すらなかなか見つからない。私が2年前好きだった新井君のようにふつうの男の子を好きになるのは、たぶん高校を卒業してからみたい。
私の心は他に夢中になる人が見つかるまで、また、ヒロミの事で悩ませられるのでしょうか? 冷静になったり乱れたり、こんな事がこれからも続きそうです。

1974年2月16日 ひろみともお別れ…?

 きょうは春がやってきたみたいだにとてもあたたかい1日だった。
きょうのような天候だと、心も明るく晴れていていいはずなのに、私の心は時々悲しみにおそわれます。「ホントなら明日ヒロミに会えるはずだったのに」という悲しみにくやしさも混じってきたみたいです。
ところで、きょうは、学校で4時間目のHRの時間、「お別れ会」について少し決めた。きょうは1日あたたかかったけど、ホントにほんとの春になったらみんなとお別れですネ。悲しいナ。

春になったら、2年生になっちゃうんですネ。つまんない。
春になったら私の好きな人に会えるでしょうか? ひろみクン
春になったら、ヒロミのドラマが終わりますネ。フクザツな気持ち。
春になったら、ヒロミ以外に好きな人ができたら、私……
幸せデス!

※本文に登場する人物名は、すべて仮名です。

Text/かみやじん