「童貞っていうのは状態でなくマインド」
  ……おまえか!俯いたまま目を合わせないIは、とっくに30を過ぎている立派な成人男性。上司と部下が和気あいあいと仕事相手に「セックス」と夜中の3時にメッセする会社、どうなってるんだよ……。
 ちなみに同じメッセージは私と、同じく彼らと一度仕事をした、このサイトの金井編集長にも送られていることが後に明らかとなった。彼らはご丁寧にも、メッセンジャーの会話ログの上の人から順番に、「セックス」と送り続けていたのである。
 いい大人による救いようのない“セックス”テロ。私は、少し前に友人から聞いた至言を思い出した。
「童貞っていうのはね、“状態”じゃなくて“マインド”なんですよ」
  こう発言した友人男子のことは、それまでてっきりチャラチャラしたただのやりチンだと思っていたけれど、この持論を聞いてからというもの、すっかりその考えを改めたのだった。
 いわく、どんなにセックスの経験があろうと、童貞マインドを持ち続けるかぎり下手くそなセックスしかできない。ちょっとやそっとセックスの経験があるからといって脱童貞したと思い込む童貞マインド野郎が多すぎる、と彼は言うのである。点と点が繋がって美しい一本の線になった。これか、これだったのか、と視界が開けた。
 UとIからひしひしと感じるどうしようもなさというのは、紛れもなくこの「童貞マインド」だったのである。
 以降、私は彼らの所属先を株式会社童貞とよぶことにした。 
Text/紫原明子
7/4(火)阿佐ヶ谷ロフトにて
 祝5周年!AMイベント紫原明子さん出演決定
2017年7月4日(火)阿佐ヶ谷ロフトにて、『フリースタイル恋愛メディアAMの裏話座談会』が開催されます。
 アダルトサイトではなくフリースタイル恋愛メディアのAMもようやく5歳。
 その歴史とメディア運営の裏側を編集部員が振り返ります。
 大ヒットした同人誌『童貞の疑問を解決する本』の裏側もお話します。 さらに、ゲストとしてこちらのコラムの執筆者・紫原明子さんも参加決定!
 読者だけでなくメディア運営を目指す若者、ライター志望の女性、全員集合!
 おそらく、何かしらの役にはたつと思います。
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