SNSで感動を共有する理由
山田:もし、流刑にあって、通信のできない無人島に流されたとするじゃない。でも、パソコンはオフラインだけどある。何か書くと思う?
はあちゅう:書くと思います。
山田:どういうモチベーションで書くの?
はあちゅう:帰ったらベストセラーだと思いながら、毎日ダーッと書きますね(笑)。
山田:いつか誰かが読んでくれるという、つながりを求めて。
はあちゅう:はい。希望をもって。
島で取ってきた木の実の調理法を書くだけでも、それが積もって人の生きた証になるんじゃないかなと思ってます。
山田:それが一番なんだね。
はあちゅう:でも本当は「元をとろう」という、ケチ根性からきてるのかも(笑)。
旅行に行っても、この青い空をどうやって表現したらここにいない人にも伝わるだろうとか、そういうことを考えちゃいます。
もちろん、純粋に気持ちいいなとか、のんびりしているなとか感じるんですけれど、その瞬間を楽しむというよりは、その瞬間も楽しんで、その後も楽しんだら二度美味しいと考えてます。だから、その二度目をどうやって楽しもうということが、常に頭にありますね。
山田:なるほどね。発信することによって得られる楽しみがあるから、そっちを優先したいと。
はあちゅう:ラーメンを食べに行くときだったら、食べている瞬間も楽しむし、写真を撮って、後で見返しても楽しむ。さらに共有して楽しむ。だから、写真を撮らないでご飯を食べている人を見ると、「何!?」って思っちゃうし、写真を撮ってSNSにアップしない人に「その写真は、いま何のために撮ったの?」って思っちゃうんですよ。
私の妹がまさにそう。SNSをまったくしないんです。だから、妹と旅行したとき、ずっと写真を撮ってて、「え、それどうするの」って、思わず聞いちゃいました(笑)。そしたら「あとで見返す」と言われ、その手があったかと。本来は写真ってそういうものだったと思ったんですけど。
あと、先日、神楽坂に美味しいパフェ屋さんがあるってテレビでやっていて、妹がよく神楽坂に行くっていうんで、そのことを送ったら、「その店行ったことあるよ」って。「なんでそのこと教えてくれないの?」ってびっくりしました。写真も撮ってないとか言われて。「写真撮らないの!?パフェって食べたら、食べましたってみんなに言わない?」とか思って。私は、SNSじゃなくて、家族にも何食べたかとかどこ行ったかとか何してるとかラインしちゃうんですよ、私。
山田:共有しないなんて信じられませんか?
はあちゅう:信じられないですね。
共有するのは、SNSじゃなく、家族のLINEとかでもいいんです。可愛いパフェ食べたら、その感動を共有して、私は嬉しかったし美味しかったってことを伝えたいんですよ。誰かに。
山田:なるほどね。それは寂しいから?
はあちゅう:はい。寂しいですね。
人の多い場所にも行かないし、基本的に一人行動なんですけれど、どっかでふんわりと、適度な距離感で誰かと繋がっていたいです。
山田:今の時代に向いてるんだねえ。SNSの時代に生まれてよかったね。
はあちゅう:ほんとに良かったです(笑)。
山田:たとえば、すっごく好きな男性ができて、そいつがもうちょっと共有を控えてくれない?って言ってきたらどうするの?
はあちゅう:彼氏のことは書かないです。あ、今はクローズドな「月刊はあちゅう」でだけ書いてますけど…。
でも、発信自体を控えてくれって言われたら、「ちっちゃいこと言うんじゃねぇ!」って別れちゃいますね。私、男の人にはドーンと構えていてほしいという願望があるかもしれないですね。