自己肯定をすることで貧乏が武器になる
今から思えば、全然大したことないことで気を病んでいたなと思うのですが、
当時の私はあまりにもひ弱でした。
でも、仮に私がお金持ちであらゆるコンプレックスをお金で解決できていたら、
私はつまらない大人になっていたでしょう。
貧乏でそれを乗り越えようとしてきたから、社会や人間を味わい深く見ることが
できるようになったのです。
頭のおかしい時期に塾講師のバイトばかりをして、お金を稼ぎ、
本や雑誌を沢山読み、周囲に流されない自分作りや自己肯定をしました。
当時、私を救ってくれたのは橋本治さんの著作の数々で、
そうやって自分を受け容れ、私は再び大学に戻りました。
貧乏で萎縮して頭がおかしくなって、逃げ出さなかったら、
今の私はいません。その後の人生でも周囲に流されて、自分を受け容れられず、
最悪命を絶っていたように思います。
二十代の貧乏もこの時に築いた自己肯定と理論武装で切り抜けられた気がします。
そこから先の人生では、貧乏は私にとって大リーグボール養成ギブスみたいなもので、
お金の使い方をしっかり考えるレッスンになりましたし、
社会の不平等や仕組みを考える動機にもなりました。
貧乏は正しいとは思いません。
だけど、貧乏に負けない自己肯定力を身につけ、
貧乏を自己鍛錬や社会を鋭く読む観察眼を鍛えるための道具にするのは
若いうちしかできないことだと思います。
もしもあなたが今、貧しいと感じるならば、
それは変われる大きなチャンスなのです。
じっくり自己肯定力を鍛え、貧乏を利用して、面白い人間になりましょう。
私は絶対に貧乏を知らない人より、貧乏を経験してそれを糧にした人の方が
美しく面白いと思っています。
Text/肉乃小路ニクヨ
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