貧乏でダメダメな若い時期にこそ、誰にも影響されない自己肯定力が身につく

肉乃小路ニクヨのニューレディー入門

私は二十代のある一時期、都心で四畳半もない一間の
風呂なし、トイレ・キッチン共同の部屋に住んでいたことがあります。
お金が無かったからです。
でもその頃はそんなにつらくなかったのです。
仕事も1から始める時期でしたし、周りも住んでいる場所で態度を変えない人ばかりでした。
私も新しく自分の人生を切り拓こうという時期でしたし、
色々と太々しくなっていました。

本当に辛かったのは大学一年生の時に一人暮らしを始めた時です。
当時18歳で目出度く慶應義塾大学に入学して学校の近くで一人暮らしを
始めました。その時は郊外だったので、風呂・トイレ・キッチン付の
普通のアパートでした。
でも学校に行くと車で通学している人が沢山います。
着ている服もオシャレで髪型や持ち物も垢抜けている人が沢山いました。

華やかな地獄

私はダサい童貞男だったのです。
しかもホモだとガッツリ気が付いていたのに受け容れられなくて、
精神的にも幼く、周囲に流され易い人間でした。
貧困というのは相対的に感じるもので、
当時私は周囲と自分を比較し、萎縮しました。

千葉の田舎で花の慶應ボーイになったとみんなからちやほやされて
期待に胸を膨らませて藤沢で一人暮らしを始めました。
でも現実の自分はダサい童貞男で、しかもホモで貧乏。
この現実に多感な18歳は強く打ちひしがれました。

お金も無く、一緒に昼食を食べる友達もいません。
学食に独りぼっちで行くと社会性が無いのをみんなに見られることになります。
私が選んだ選択肢はトイレの個室で一人握り飯を食べるというものでした。
こうして心を病んだ私はその後、父親の死に直面し、
頭がおかしくなり、一年間勝手に休学をするという選択をするのでした。