あっぱれなオンナ
私が彼女から学んだことは
野心を強く持ちながらも、常にエレガントであろうとした心意気でした。
この連載でも書いた通り、欲望を剥き出しにするのではなく、
常にエレガンスというヴェールで包めということも、
彼女は実践していたように思います。
人を貶めたりブスだなと思うことは一つもしませんでした。
それでいて、ツッコミ易いカジュアルな雰囲気を同時に持っていて、
地に足をつけて、笑って努力を続けられた方でした。
川島さんとは結局、見ず知らずの関係でしたが、
こんなに一人の少年に勇気を与え、
大人になった今でも影響を与え続けてくれたのです。
彼女は子供もいませんし、生涯一女優でした。
でもその生き様は多くの人に影響を与えました。
子供を残すことが出来ない私にも、
笑顔で精進を続ければ、生きる意味があるのだという
希望を与えてくれた気がします。
最期は死を予感させつつも、
自分の好きなエレガントなロングドレスに身を包み、
颯爽と人前に出て、笑顔を振りまいていました。
業も込みで人前に出て仕事をするという芸能のなんたるかを
身を持って教えてくれた気がします。
そんな彼女を思い返すと
心から出てきた言葉は僭越ながら、
「なお美、あっぱれ!」
というものでした。
教えてくれた事を大切にしながら、
生きていきたいと思います。
心より御冥福をお祈り申し上げます。
Text/肉乃小路ニクヨ
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