ヒモになりたがる男への疑問
「ヒモになりたい」という夢を抱いている男性と付き合ったことはありますか。わたしはあります。もちろんわたしには、ヒモを飼えるような甲斐性があるわけではないし、彼もまた、所詮は口だけで、仕事を辞めて我が家に転がり込んでくるような度胸があるわけでもない。ただただ、時々思い出したように「あー、ヒモの生活って理想だよな~!」とボヤくだけの、そんな彼が理想とするヒモ像は「仕事せずに、毎日、仕事に出掛ける彼女が置いていく二千円で、昼飯と煙草と缶コーヒーを買って、そのあまりの五百円か千円は貯金する」というもので、その貯金は記念日に彼女にプレゼントを買ってあげるために使うという。
まるで趣のある話のように話すところが鼻につくものの、人生のビジョンはそれぞれであっていいと思うし、人様の夢を否定することもない。が、あるとき、「でもさ、ヒモってことは、身の回りのことはしてくれるんでしょ。帰ってきたらホカホカご飯が綺麗な部屋に用意されてるんでしょ?」と尋ねてみたところ「あ、いや、それは……まぁ(笑)」と。
なんだお前、小遣いまでもらっておいて、家事はしない気なのか。それはヒモじゃない! ただの無職の昭和のオヤジだ! と、イラッとしつつも、「バカじゃないの?」と受け流していたのは、いちいち相手にするのが面倒くさい上にどうせ実行されることはないとわかってるからですが、実際、もしも生活を共にしているパートナーが突然に仕事を辞めてきたら……と考えると、それはそれで割と怖い。だって人の食い扶持を背負うのって、結構な覚悟が必要じゃないですか。
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