「子どもがいるからできない」?

そもそも『Gダイアリー』は、アジアの風俗情報誌で、硬派なルポや、マニアックな現地情報も掲載されてはいるものの、最強マップというゴーゴーバー(連れ出し可能な飲み屋)やマッサージパーラー(日本でいうソープランド)を網羅した地図が毎号必ずついていて、そこには「立ちんぼエリア500バーツ前後」「タイ人ご用達の援交カフェ」といった、細かな情報までも紹介されている、いい意味で狂った雑誌でした。

実際、『バンコクドリーム~Gダイアリー編集部青春記』に巻かれた帯には「バンコクに編集部を置き、「日本の恥!」と駐妻たちに目の敵にされた伝説の雑誌」という文字が躍っている。そんなドひどい雑誌の出版イベントに参加するために、わざわざ日本から幼児を伴ってバンコクに行くなんて、いったい誰が想像するであろうか……そんなことを考えているとさっきまでの侘しい気持ちがすっかり消えて、むしろワクワクと浮き立ってさえきました。

思えば産前、ひとりで旅に出ようと思い立つのは、膠着した現状にマンネリやウンザリした思いを抱いていて、何かを打破したいと感じているときでした。母になってそんな選択をする機会を丸ごと奪われてしまったと思っていたけれど、まったくもってそんなことはない。「子どもがいるから」という理由で、できないことなんて、実はなにひとつない……というわけで、次週に続きます。

Text/大泉りか