トンデモ科学を求めて「子どもは親を選んで生まれる」イベントに参加

スピリチュアル

血液クレンジングとやらが世間を賑わしていますが、皆さんはニセ医療や科学的根拠のない民間治療に騙されがちなタイプですか? わたしは「騙されないぞ!」とイキっている割には、たまにストンとハマってしまうことがあります。

とくに産後は母乳の出がよくなるという触れ込みの、お高くてカレーくさいハーブティーを飲んだり、「赤ちゃんの肌は乳酸菌がいっぱい。だから、味噌を仕込むときに赤ちゃんの手をつっこむと、まろやかな味の赤ちゃん味噌が出来る」なんて噂を聞きつけて、我が子の手をつっこんだ味噌を作ってみたり……。

いまとなっては「ヤベー! なんであの時、そんなことにお金や手間を費やしたのか」という気持ちしかないのですが、そのときはそのときで、「ちゃんとしてるわたし」という充実感を覚えていたことも、また事実です。

『怪奇!本当に怖いトンデモの世界』に登壇するために

戒めも込めて、そういったトンデモ案件にはアンチの姿勢を取っているせいか、今年の夏に、『怪奇!本当に怖いトンデモの世界』というイベントに登壇させていただく機会がありました。

一緒に登壇したのは『呪われ女子に、なっていませんか? 本当は恐ろしい子宮系スピリチュアル』という著書を持つライターの山田ノジルさんや、“産婦人科医”というツイッターアカウントで有益な医療情報を日々呟いてくれる産婦人科専門医の太田寛さん。事情通のお二人に比べると、わたしは完全にド素人。どうしようネタがない……ないなら取ってくればいいじゃないと、事前にどこかに潜入取材することを決めました。

トンデモといっても多岐に渡っています。いったい何を取材しよう。そういや古い知り合いのひとりが、最近ホメオパシー(毒物を薄めると毒を打ち消す薬になるという代替医療)にハマって実践していることを投稿していたことを思い出して、彼女のFBを覗いたところ、最近はホメオパシーに加えてデジタルデトックスとやらにもハマっている様子。夜中にwi-fiを切ることで、安眠効果が期待できるとそのメリットを語っていました。

面白いけど、若干ネタとしては弱い……ほかになにかないかと、さらにスクロールしていったところ、「子どもはママを選んで生まれてくる」という主張で有名な御仁のトークイベントが、近日開催されるという情報が。さすが、蛇の道は蛇! と感心しつつ、さっそくそのイベントに申し込んでみたのでした。

最前で堂々と座る「ありのままで愛される女」

当日。子連れでも参加可能ということで、息子を連れて会場へと足を運びました。2歳半の息子がトークショー中、静かにしていてくれるわけもないとわかっていたので、アンパンマンのチョコレートと、マックスまで充電したタブレットを持参。備えはバッチリ!
参加者たちを見渡せる一番後ろの席に座って、いったいどんな女性が来ているのかチェックしたところ、9割が女性で、そのうち乳児幼児連れの女性が3割ほどで、残り6割がひとり客。残りの1割が父・母・子という家族総出での参加でした。

基本的に、ほとんどの方が、髪も服もとてもお綺麗にしている女性ばかり。こういうイベントに出席するのは、いかにも“自然派”といったふうな、飾り気のない女性ではないかと予想をつけていたので、少し意外に思いました。ただ、興味深かったのは、最前列を占めているのが家族連ればかりのこと、そしてそこに座っている女性のメイクや服装がそっけない、わたしが考えていた女性像そのままだったことです。

素朴な雰囲気で堂々と、夫の隣で誇らしげに笑みを浮かべている最前列の女性たちの姿。「ありのままで愛される女」というワードが頭の中に浮かび上がった次の瞬間にふと、思い出したのは、かつて、スーパーカーでドライブデートしていた最中に、運転席の男性がいった言葉です。