男も生きづらい?

何があったのか判明したのは、その夜のことでした。「ツイートしたんだけど、昨日マッサージに行った店で、乳首を触られて……」と夫から切り出してきたのです。

「それで?」
「なんかおかしいなって思って。だって、マッサージされてたらさ、『ぽこ×たて』のタクヤさんの動画を見せてきたんだよ!

「ぽこ×たて」とは、BSスカパーで放映されていた『徳井義実のチャックおろさせて~や』という番組の1コーナー。以前フジテレビ系で放映されていたバラエティ番組『ほこ×たて』のパロディ企画です。

このコーナーでは、「絶対にイカない女VS絶対にイケる電マ」や「絶対にイカない男VS絶対にイカせる男」といった、最低で最高の対決が行われていました。中でも「絶対にイカせる男」として登場したのが、新宿二丁目で『コレステロール』というお店を経営する、タクヤさんという男性。タクヤさんはその番組で、“のど輪締め”というフェラチオの最強技を披露し、一躍注目の的になったのでした。

「それを見せながらゲラゲラ笑ってるから、おかしいなって思って。そしたら乳首を触ってきて。で、追加オプションを勧められて、『ああ、そういうことか』って思ったんだけど。けど、断っても乳首をずっと触ってきてさ」

海外のマッサージで、女性客に対して、セクハラまがいのことをしてくる男性の施術者は、経験上少なくありません。それゆえ、わたしはできるだけ女性の施術者に当たるようにしています。

しかし他方で、女性施術者が男性客に対して、頼んでもいないのに乳首を触ったり、猥褻な動画を見せたりするような、望んでいないサービスを持ちかけることも、おそらく相当数あるのです。けれど、すべての男性がそれを歓迎するわけではない。スペシャルなサービスを期待して入店したならともかく、純粋に身体をほぐしてもらいたい場合には余計なお世話です。おまけに、そういう施術者に限って、肝心のマッサージはやる気なく、下手くそだったりする。

これって、男性の生きづらさのひとつなのではないでしょうか。「男なんて、チンコを勃たせられたらあとは簡単」と、軽視されながら生きるのって、面倒くさそうだし、しんどそうです。

真実は闇の中

そんな、男性の生きづらさに思いを馳せた翌日のことでした。大通りを歩いている最中、夫が道の反対側を指さして言ったのです。

「あれ、あの店! タクヤさんの動画を見せてきた、乳首の!」

見れば、そこには『夜上海』と書かれた紫色のネオンの看板が。どう贔屓目に見ても完全に、「一見マッサージ店を装っているけれど、実はピンクなサービスのあるお店」です。

「あそこ入ったの? どう考えてもピンクなサービスのある店じゃん」
「えっ、だって、あそこしかやってなかったんだもん!」

と慌てて弁解する夫。こいつ、本当は期待して入ったものの、予想外に高かったとか女性が好みじゃなかったとかで、オプションを受け入れなかっただけではなかろうか。

真実は闇の中。皆さまも海外でマッサージを受ける際にはご注意を。

Text/大泉りか

次回は<なぜか他人からジャッジされる「子育て論」。翻弄されたり傷ついたりするけど、でもきっと…>です。
「子育ては我流で行う」と決めても、周囲から心ない言葉を受けるとやはり傷つくもの。他人の意見に振り回されず、自分なりの子育てをするために大泉さんが決心したこととは。