「エロいこと」を仕事にしているわたしが結婚にたどりつくまで

「エロの人」のわたしを認めてくれる人

森の中で光ある方を見上げる女性の画像 ierdnall

「顔が好み」だとか「背が高いこと」とか、「いい企業に勤めている」や「収入が安定している」「一人暮らしを経験したことがある」「趣味があう」「思いやりがある」「浮気をしない」「子供が欲しいと考えている」などなど、付き合う相手を決める時に、何を条件として挙げるかは、人それぞれだと思います。わたしが絶対に譲れないのは、「エロいことを仕事にしているわたしを認めてくれること」でした。

 高校時代はオジサン相手にパンツとハルを売り、大学に入ってからはSMショーに出演して素っ裸で縛られたりフェチビデオに出演したりと、いろいろしておりましたが、その当時に男性と付き合うことになっても、仕事について、自分から告げることはありませんでした。なぜならば、そういった「アルバイト」は、裏でこっそりと黙してするものだと考えていたからです。

 しかし、わたしにとってエロで生きる、エロく生きることは、一過性のことではなかった。大学を卒業後、脱ぎ仕事とエロ系のライターとエロ系出版社での編集者という三足の草鞋を履いたことで、やがて周囲の人々からは「エロの人」と周知されることになりました。しかし、それは決して都合が悪いことではありませんでした。なぜなら、わたしは「エロの人」というキャラクターを得たことで、自らの生き方をだれに隠す必要もなくなり、それまでとは段違いに、のびのびと生きやすくなったからです。

 もちろん一方で、そういったわたしの素性を、事前に知ることなく出会う人もいました。例えば学生時代の友人が設定した、合コンや飲み会などで知り合う人たちです。けれども、そういう場で自分の身を明かすと、面白がられるというメリットはありつつも、「ちょっと違う人」と距離を置かれることがあるだけではなく、何が気に食わないのか時には説教をしてくる人もいたりして、面倒くさい。なので、そちらでは、手当たりしだいに理解を求めるようなことはせず、「この人とはもっと知り合いたい」と思った人にだけ、こっそりと告げるようにしていたのでした。

 ゆえに、社会人になってから付き合った男性は、全員が付き合う前から、わたしがピンク色の世界で生きていることを、知っていた人です。しかし、知っていたからといって、付き合いがスタートした後、そのことを許容してくれるとは限りません。むしろ、許容できない人のほうが多い。だから、わたしがこれまでしてきた恋愛は「どうやってわたしのパーソナリティを認めてもらうか」という闘争の記録でもあります。