男女で違うお金の使い道

けれどもケチな男性は、ケチに文句を言わない女性が大好きです。お弁当なんて作っていった日には、「俺のことを気遣ってくれている」と大感激してくれますが、女性側にだけ、費用の負担を強いている事実にまでは思い至らない。いや、別にいいんですよ。お弁当の材料費なんて、たいしたものではないじゃないですか……っていうのが、ケチ男をタカリ男に成長させるキッカケになったりします。自分のお金は使わずに、人のお金を使って「一緒にいられればそれだけで幸せ」って、そりゃ幸せですよね。

けれども、実はこの『男性がケチに見える問題』って、男女の価値感の違いに基づいている気もします。
たとえば、「金がないから」って外食を拒否して家でパスタを茹でて食べたがる男性が、突然、そこそこに高いジャケットを通販で買い求めていたりする。そういうことを目の当たりにすると「わたしは外で食事をする価値のない女なのね」と考えてしまいそうになりますが、たぶんそういうわけじゃない。ただ価値観が違うだけです。
カフェや、水で代用できるファミレスのドリンクには金を払いたくないけど、自分をかっこよく見せる服には金を掛ける気はある。たしか、「一万円を崩したくない男」も、服だけはいつもいいやつを着ていました。

いつの年末だったか、当時付き合っていた「金がない」が口癖の恋人と、韓国料理を食べにいったことがありました。想像していたよりはお会計が高くついたのですが、それでもふたりで一万円とちょっとだったと思います。それなのに、その帰り道にえんえんと「ちょっと高かったなー。年始に、ヨドバシの福袋買うつもりだったけど、それを買ったつもりってことでいいか。ヨドバシの福袋だとシェーバーとか入ってただろうけど。でも買うお金、もう使っちゃったからなぁ」と恨みがましくブツブツと言われたのは非常に鬱陶しかった。そんなふうに価値観が、交際費<物欲って男性、よくいるなぁって思うのです。

Text/大泉りか