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  • 2017.01.28

私の電話は『119』?看病をお願いすることは限りなく束縛に近い(後編)

前回に引き続き「恋人の看病」の話。今回は「看病という名目で行っていた行為が次第にエスカレートしていくと「束縛」へと姿かたちが変貌していくのか?」について。知らず知らずに恋人の存在が119番と同じようになっていたりしませんか?依存・束縛の危険性はこんな所にも潜んでいるのかもしれません。

 前回の記事からお楽しみください

感謝されて心変わり

大泉りか 人妻は不倫の夢を見るか?
by picjumbo.com

 それは、とある冬の日のことでした。年中、体調不良のその彼から「熱が40度くらいある。インフルエンザかも」とメールが届いたのです。

 わたしはいつものように「病院に行ったら」と返しましたが、「しんどくていけない」という返事がきました。
それを見て「いつものことか」と考えたわたしは、看病に駆けつけることもなく、仕事を終えた後、友人と酒を飲みに行き、自宅にたどり着いたのは午前様でした。翌日、二日酔いのまま目を覚ますと恋人から「まだ熱がさがらなくて、本当にシンドい」とメールが届いていたので、「週末には会いに行けるけど、それまでによくなっているといいね」と返しました。

 そして迎えた週末。彼に会いに行くと、熱はすっかりと下がった様子。

 が、しかし「治ってよかったね」というわたしに彼はこう言ったのです。「ちょっと酷くて、男友達の〇〇に来てもらったんだよね。ポカリとか、食べ物とか届けてもらった。そしたら、あいつ、彼女は何してるんだって言ってたよ」と。

 その男友達は、ちょうど近所に住んでいたというわけでもなく、電車で三十分以上かかる自宅から駆け付けてくれたのでした。さすがのわたしも「男友達を呼ぶほどに、切羽詰まって具合が悪いんだったら、看病に来てあげればよかった」と思いました。

 なので、それから数週間後に、「具合が悪くって、寝込んでる」と恋人から連絡が届いたときには、仕事を終えた後すぐ、看病へと駆けつけたのでした。

 看病に訪れたわたしに、恋人はとても感謝してくれました。感謝されると、やっぱり嬉しいものです。
「飲み会に行きたい」という自分のわがままを抑えて、人に優しく出来ている自分に満足感を抱くと同時に、恋人に感謝されることの喜びを知ったわたしは、「病院に行かないという選択肢を取っている人を看病する筋合いはない」という考えを改めて、「恋人の具合が悪ければ、看病に駆けつける派」へと転身したのです。

正当に見えてしまう「束縛の理由」

 しかし、「優しさを身に着けて一件落着」とならなかったのは、先にも書いた通り、その彼が「1年365日のうち、360日くらい具合が悪い」タイプの人だったからです。
寝込むほどに具合が悪い場合だけ、看病するつもりでも、当の恋人がどれくらい具合が悪いかは彼に会うまでわかりません。「病院に行かないという選択肢を取っている人を、看病する筋合いはない」という物差しを手放したために、どこからどこまでが看病に行くラインか、行かなくてもいいラインかの判断が出来なくなってしまったのです。

 それからと言うもの、彼が求めるままに「具合が悪い」と言われると、看病に訪れるようになりました。
最初はわたしが世話をしに訪れることを喜んでいた恋人も、次第にそれを当然のこととして受け取り始め、やがて、「ちょっと今日は用事があるから、行けない」と断ると、「具合が悪いって言ってるのに、彼女としてもう少し気を遣えないのか」と、前にも増してわたしを責めるようになりました。ときに人格否定までされるのがしんどくて、仕方なく看病をする、という日々は、結局、その彼と別れるまで続いたのでした。

 別れた後に付き合った次の彼は、身体がとても丈夫でかつ、看病を求めない人だったので、「健康な人と付き合うのって、なんて楽なんだ」そして「看病を強制されないって、ありがたい」としみじみ思うと同時に「なんであの彼、あんなに身体が弱かったんだろう」という疑問も抱きました。

 本当にいつも、身体の様々なところが不具合を起こしているのです。もちろん、もともと身体が弱い体質の人がいることはわかっていますし、コンビニを中心とした不摂生な食生活だったのでいつも調子が悪くても仕方ない。だけど、いくらなんでも具合悪すぎだろ! と考えていた時に、知り合いから、ふとこんなことを聞きました。「精神的な調子が悪いことを、体調が悪いっていう人は多いし、精神的に病んでる人は、身体の調子もおかしくなりがち」と。

 それを聞いた瞬間に、めちゃくちゃ納得できました。
というのも、わたしの中には「ひょっとして『具合が悪い』を口実にして、わたしのことを束縛しているのではなか」という疑念があったからです。彼自身、体調が悪いことはつらかっただろうけど、それがわたしを束縛する正当な理由になりえるのは、都合が良かったのではないか。

 だから彼は、無意識にずっと体調が悪かった。あれは、病気と看病の共依存だったのではないか、とまでは考え過ぎかもしれません。けれど、それ以来、わたしは恋人にする男性の条件に「身体が丈夫」を入れました。いったい、いつの時代の婿選び基準だって感じですが……。

Text/大泉りか

次回は<あなたは3Pに何を求めますか?男性二人が不発でも満足した記憶の理由>です。
二人がかりで気持ちよくされちゃう……そんな夢みたいな妄想に包まれているのが3Pセックス。大泉さんも人並みにそんな3Pへの欲求を抱いていました。でも何回か3Pに巻き込まれて分かったのは、本当に求めている3Pのかたちは限定的だということ。全員イケてなかったとしても大泉さんは満足できた3Pとは?

童貞の疑問を解決する本

ライタープロフィール

大泉りか
キャバ嬢、SMショーのM女、ボディペインティングのモデルなどの経歴を経て、現在は官能小説家、ライトノベル作家。

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