授かる前にヤッときゃよかった
妊娠8ヶ月を過ぎ、いい加減、妊婦生活にも慣れてきました。妊娠が発覚したのがゴールデンウィーク明けのことだったので、「自分は妊婦である」ということを納得するのに、おおよそ五か月くらいもかかった計算です。
「長い妊活を経て待望の!」という状況ならば、妊娠の心構えも出来ていたのかもしれませんが、わたしの場合は、妊娠検査薬で陽性が出たその3週間後に、香港旅行を予約していたほどの霹靂。
一応は夫と「出来たらいいね」とナマ中出しを解禁していたものの、いざ検査薬の陽性ラインを目にした時は、「セックスすると、まじで子供が出来るんだ」と驚いた程の体たらくだったので、自分が妊娠していること、そして冬には子が生まれることを実感するまでには、少しだけ時間が掛かったのでした。
いや、5ヶ月は、掛かりすぎな気もしますけどね。でも、そうだったんです。
例えば。あれは、妊娠が発覚して、ちょうどひと月ほど経った梅雨の真っ最中のことでした。
今までのように酒を飲むこともできず、夜遊びも自然と減り、やや生活が落ち着きつつあったある日のことです。
ふとこんな考えが頭をよぎったのです。「あー、アイツとか、あの人とか、あの方とかと、ヤっときゃよかった!」と。
というのも、男女間の関係においては、ヤってしまった男女だからこその、だらしのなくも親しみある空気感もいいものですが、ヤってない相手とLINEをやりとりしたり、酒の場でおしゃべりだけをしたりっていうのも楽しいんですよね。
しかも、こちらは人妻という立場ゆえ、「期待だけ持たせてヤラせないビッチ」と陰口をたたかれることもない。だから、結婚してここのところ、男性とぬるいやりとりをしては、キュンを楽しんでいたんです。が、「いまのわたしはセックスは出来ない」ということに気が付いた瞬間、「ヤっときゃよかった」と後悔を覚えたというわけです。
どうしようもありませんな……。