なぜか別れられなかった付き合いの長い彼
春は別れの季節だといわれてますね。卒業や上京などといった、状況の変化もありますが、我が身を振り返ってみると、男性に自ら別れを告げた季節は、不思議なことに断然、春が多い。
しかも。長い冬を越えてようやく春が訪れるように、「別れるか別れないか」とさんざ悩みながらも長い間お付き合いした方と、ようやくのことの別れに至るのが、いつも春なんです。
どうでもいい男とは、例え、夏の盛りでも、もの寂しい気持ちになりがちな秋でも、人肌恋しい冬の時期でも、「別れよう」と思った瞬間の反射神経で別れることができたのに……これは、いったいどういうことだったのだろうか。
ある春のこと、とある男性に別れを告げたことがあります。
その彼は都内にある実家住まいで、家族編成は、隠居中の祖母・サラリーマンの父・専業主婦の母・会社員の姉の三世代同居。元農家だったそうで、塀の中に3台分の駐車場と母屋と離れと納屋があるような、広いけれども、“土着”という言葉が似合う家に住んでいました。
そんな彼の特徴といえば、「女は女らしく」。なんでそんな人がわたしと付き合ったのか、なぜわたしがそんな彼のことを好きになったのか、さっぱりわからないのですが、とにかくその彼とわたしは、互いに恋に落ちて付き合うことになったのです。
しかし、実際に付き合ってみると、ほぼほぼ喧嘩ばかりの毎日でした。男友達と飲むことはもちろん、女友達と会うこともあまりいい顔をされない。飲みに行っても『帰ってきたコール』を待っていてくださるもんだから、日付が変わるくらいには家に戻らなくてはならない。
ある時は、バイトで帰りが遅くなった夜道、後ろから見知らぬ男性の乗った車で着けられ、慌てて携帯電話で助けを求めると「そんな遅くまで働いているほうが悪い」とこちらが責められる始末。「心配するほうが先でしょ」「けど女が夜道を歩くのは実際に危ないことだから」とまるで気が合わないのです。
毎日、毎日、別れようと思っていて、しかし、引き止められると、どうしても、別れられない。飲みにいくこと自体、回数があまり多いとグチグチと言われるので、自然と家に閉じこもりがちにさえなっていた。
そんな状況で、彼と別れる決意をしたのは、ちょうどこのくらいの季節のこと。
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