恋を手放したことにモヤモヤとする気持ちの正体
結婚して人妻になったら、ひとつわかったことがある。それは、不倫をする既婚男性の気持ちだ。
それまでは既婚男性と不倫する立場だったので、その視点から、世界を見ていた。
「彼は、多くの女性の中からわたしを選んでくれて、一緒に罪を犯すリスクを背負っても、わたしを欲しいといってくれた。確かに妻がいることは知っているけど、「妻とはセックスレス」だというし、妻には出来ないセックスをわたしとはしてくれる。だから、女として大切にされているのは、自分のほうで、さらには、共犯者という名のパートナーでもある。その結びつきの強さを信じればいい…」
と思っていた。
が、結婚した後、“不倫”という言葉が頭をかすめた瞬間に、こう思った。
「家庭には満足している。けれども、恋を手放したことに、なんとなくモヤモヤとする気持ちがあって寂しい。恋をされたいし、恋をしたい。口説かれるスリルを楽しんでときめきを味わいたい。セックスだって、まだもっと気持ちのいい、刺戟的で、昂奮できるプレイが出来るかもしれない。けれども家庭があるから、わたしが与える以上のものを求められても困る。そういう、わたしの都合のいい範囲内でわたしと恋愛をしてくれる人がいたらいいのに」
妻の視点から独身時代のわたしを見ると、「お、おぼこい…!」としか言いようがない。一方で、独身時代の視点に立って、妻のわたしの言い分を聞くと「う、飢えてる…!」と呆れてしまう。もちろん、最初は既婚×未婚の関係でスタートしても、どこかのタイミングで、出会う順番が間違えちゃったとかってことに気が付いて、略奪愛をキメるカップルもいるから、すべてとは言えないが、それはごくごく少数派。
女であれ、男であれ、おおよそ不倫する既婚者の本音は、こんなものじゃないんでしょうか。わたしも含め、本当にクズだと思うけど、世の中はクズで溢れているのです。
しかし、クズはクズと都合のいい関係を築けばいいと思うんですがね、そうもいかないのが難しいところですね。
…次回は《浮気願望が出てきたら「性のエネルギー」の受け皿を探せ!恋愛気分を感じられる場所のススメ》をお届けします。
Text/大泉りか